【MFT2019】簡単自作ロードセル基礎学習<半日で作れる>

信州MAKERSではMFT2017、MFT2018とひずみゲージ応用の多分力センサを開発してきました。MFT2019では、いろいろなアプリケーションに使える実用的な作品を開発しようとしてます。基礎学習としてホームセンターとアマゾンで入手できる部品で、ロードセルを作ってみました。まだ、既製品の中華ロードセルにクロストークで負けてますが、初めてのひずみゲージセンシングの学習教材としては、良いのではと存じます。
※信州MAKERSでは。多軸の力センサを作る目的で自作をおこなってます。多軸で1ー3%精度がでれば自作価値があります。
しかし、単軸のセンサが目的の場合は、自作されても精度、コスト面で意味がありません。
=>精度1%以下を求めるなら購入したほうが良いです。JISB7613の家庭用はかりの規格は、自作では難しいです。
タニタのキッチンスケールでも500gで±2g(0.4%)ですので、日常で使っている秤類でも1%以下が当たり前です。

◇手間をかけずに力を測定したい方は、秋月のロードセルとアンプが手軽です。

■既製品の安物中国製ロードセルでもクロストーク込みで1%前後ですが、板金物を使った自作のロードセルでは板のねじれによるクロストークに弱いため最悪の荷重位置だと10-20%の誤差が発生する場合があります。そのような荷重位置を使わなければ2%以下で使えます。
※クロストークを減らして精度のよいロードセルを作るには、10x10以上の厚みのあるバルク材が必要ですが、ホームセンターにはなかなかありません。私の場合、多分力センサを試作する場合は、
金属加工専門メーカーに発注して調達してます。横山テクノさんをよく使ってます。丸棒型6分力センサや角棒型ロードセルも横山テクノさんの定寸アルミを使ってます
●ひずみゲージ・ロードセルの詳細な情報は、下記メーカーの入門記事が親切です。
■ロードセルメーカー ユニパルス社の入門用解説あります。https://www.unipulse.tokyo/techinfo/loadcell-torque/
■ロードセルメーカー A&D社の技術者が説明している記事 https://www.aandd.co.jp/products/loadcell/introduction/cell_intro02.htmlsikaku 
■世界最高峰のロードセルメーカーHBM社のひずみゲージの基礎講座
■2021年11月1日 手近な家具で人が乗れるフォースプレート作ってみました。
【ロードセル】パイプ家具でフォースプレート作った<人が載れる>
これから、6分力フォースプレートを作っていきます。自作だと寸法精度が悪いので、作り放しだと精度悪いので、校正と干渉補正で精度を3倍向上させました。
【ロードセル】校正・干渉補正でFz精度0.97%出た<干渉補正は必須>

■2021年10月13日追記 実用的で便利な両持ち梁式ロードセル試作しました。
両持ちなので床置きで測定できるので固定手間がかかりませんので便利で実用的です。
しかし、板厚を厚くして、最大荷重時のたわみを0.1mm程度に抑えた方がよさそうです。

【ロードセル】両持ち梁式ロードセル作った<床置きで便利>
2021年7月12日追記 2年ぶりで新作ロードセル作ってます
スキーターン時の曲げRを測定したくて、開発を始めました。
新たなアイデアで、0.3ミリの銅板でふにゃふにゃのロードセル作ってみました。
銅板は、アルミより強度と剛性が倍あって、SUSよりふにゃふにゃな点が丁度いいです。
【ロードセル】銅板でロードセル作ってみたその1<曲げ測定用>
本記事ではRoverbalブリッジでせん断力を測定してますが、同じゲージ配置で曲げモーメントブリッジを組みました。
銅板ロードセルを使って、スキー板の測定してます。

■自作多分力センサの必要性
信州MAKERSでは、人間の運動動作の測定評価を行ってますが、人の触覚、手足から発生する力は、6分力が複雑に組み合わさって素晴らしい運動をしてます。それをセンシングするには、6分力センサが必要になります。
面白い事例;トラックポイント(指で触れるだけで動かすマウスの基礎実験)
=>本ロードセル2個作って十字型に配置させて2分力にして指で触れながら操作性を実験
6分力センサは、市販品だと数十万円~1千万円を超える高価なセンサです。その精度は1%以下ですが
自作でも3%以内で数万円の材料費で作れてしまいますので、コストパフォーマンスは素晴らしく良いです。
しかも、測定したいコトにぴったり合ったオリジナル多分力センサなので、市販品ではできない計測ができます。
それを実現するための入り口として、短軸の自作ロードセルから学習することをお勧めします。

■ここでは、ロードセルの原理を学ぶための簡単な自作工作例としてご紹介いたします。これを基礎として様々なアプリケーションに発展されることを望んでおります。
私は、ひずみゲージブリッジの組み方を自由自在にできるようになっただけで、力と変位測定が得意分野になりました。ひずみゲージブリッジを作れることは、技術者としての強みになります。  
基礎学習3回目<ひずみゲージブリッジ組み方>

 

●簡単自作ロードセル
中華ロードセルだとサイズが大きくていろいろな場所で力を測定するには不便です。そこでホームセンタで買える穴あき板一枚にひずみゲージ4枚貼っただけの簡単で精度剛性が高い自作ロードセルの作り方を説明します。

●用意する材料
①ステー板
ホームセンターで売っているステーという穴付板です。
アマゾンで129円で売ってますが、まとめ買い品なので2千円以上購入時にしか購入できません。穴が3個あいていればいいのでホームセンターで探したほうが安いです。

これを2袋買うか、小さいのを1袋購入します。

②M3のボルトナットワッシャのセットも必要です。
これはホームセンターで買います。
でSUSでも黒でもよいですが、ナットとワッシャ付で
A:長さ10㎜ なべこ  2本以上

B:長さ15㎜ トラス  2本以上

C:外歯ワッシャM3   10個 (回り止め)

上記板4枚とねじ4本で、簡単にロードセルが組立られます。下記写真

③ひずみゲージ
これは、アマゾンで中国から購入するのが安いです。最近は1枚40円以下になってます。安くてもちゃんと使えますので、安心です。失敗しても惜しくないです。

Ren He BF350 重量センサー 高精度 抵抗ひずみゲージ ひずみゲージ プレッシャー 9個 収納ボックス付き

②接着剤と紙やすりとスコッチテープ
百斤のは刷毛付瞬間接着剤が便利です。
紙やすりは#800~#1500程度なくても脱脂すれば大丈夫です
③脱脂
接着面の脱脂では、エタノールは必須です。
100%純正品です。私は植物由来品をアマゾンから購入しました。

●ひずみゲージの貼り方
けがきをいれるとか線をいれなくても形状がシンプルなので目分で貼っても
大丈夫です、人間の目分は、結構寸法精度がいいので下手なけがきより正確です

貼り方の動画はこちらをご覧ください。(音楽がうるさいのでボリューム下げて下さい)

●貼り方の原理は下記ですが、(原理知らなくても大丈夫です)

原理学習は、 基礎学習3回目<ひずみゲージブリッジ組み方> を見てください。
梁のモーメント分布を理解して、菱形のブリッジ配置と(R1+R3)ー(R2+R4)を覚えるだけで応用がききます。


●配線はんだ付け
電線は、カラーケーブル8本が便利です。一番お得な通販はマルツです。
1mで295円ですが、10色20芯なので2列取れますので3mで6セット分作れます。

フラットケーブル 1.27mmピッチ 20芯【UL20012-FRX-CF-S-20】


使う線は、私のルールは、#1ゲージ:赤ー橙 #2黄ー緑#3青ー紫#4灰ー白
と決めておくとブリッジ配線が楽で間違いが少ないです。

●はんだ付けのコツ
1)ゲージにはんだを載せる前に脱脂エタノールできれいにふき取る
  鉄板に熱が逃げるの何回か触れて温度を上げてはんだを載せる

2)片側の半田付けが終わったらケーブルを接着固定で一休み
テスターで抵抗値350Ωになっているかチェックします。
ケーブルを半田付けしてもちょっと動かすとゲージが破れてしまいますので、線に張力を加えてはいけません、ですので、動かす前に線を接着剤で固定してしまいます。
 5分硬化のエポキシが便利です。ホームセンターでも売ってます。

セメダイン 5分硬化型エポキシ系接着剤 ハイスーパー5 P15gセット CA-188

●組立
小一時間で、硬化しますのでロードセル全体の組み立てします。
黒いねじはしっかりと締めます。後でギザワッシャをいれてもいいです。

●以後
アンプと配線に関しては、下記ページをご覧ください。

基礎学習3回目<ひずみゲージブリッジ組み方>

基礎学習2回目<HX711とロードセル接続>

ロードセル<変換モジュールHX711をいじりだした>
※HX711は10Hz程度と遅くて静的荷重専用で、しかもSIOインターフェースが難しいのでシリアル接続で安定して使えるアンプをお勧めいたします。
=>電子工作中級程度のご経験が必要ですが、初級の方でも数か月かければTSSOPのひずみアンプ基板を制作動作できるようになります。本ブログで大勢の学生さんがトライされてます。
①1-2CHで手ごろで高精度高速アンプ

【ひずみゲージアンプ】ADS122U04の動作その1<UARTで楽ちん動作>

【M5】M5Atomと2CHひずみゲージアンプADS122U04基板作った<小さな2CHひずみアンプ>

②4CH以上の測定なら、アナログデバイス社のAD7193,AD7194をお勧めします。

【MFT2019】AD7193_TSSOP_4CH動作OK<3日かかった>

【MFT2019】AD7194_6CHスループット10msec<PC転送時間長い>

 

秋月で売っているHX711は、手頃ですが、キッチンスケール用ICなので、静荷重専用です。
10Hzまでしか応答しませんので、一般的な力の測定は無理ですが、初めてひずみゲージ
ブリッジを実験する場合は、結線が簡単なのがメリットです。動的な力を測定したい場合は、
LT1167なら結線の手間がありますが、マイコンプログラム簡単です。

 

 

その後精度の検証をおこないましたが、荷重以外にモーメントの影響(干渉、クロストーク)が発生しております。製品のロードセルでも荷重以外のせん断力、モーメントに対しては、対策はうってあって、高級品だとクロストーク0.1%以下とかありますが普通のロードセルで1%程度のクロストークはあります。
下記検証記事で、本自作ロードセルの場合のクロストークは、ねじりモーメントで5%程度発生しております。

どうしても精度を向上したい場合、
クロストーク込みで3%以内にまで改善することができます。
そのためには単軸のロードセルではなく3軸以上のロードセルを作って相互干渉を排除できるような計算処理(干渉補正)を行えば何もしない場合10-20%精度が3%以内まで精度を一桁向上できます。自作多分力センサが3%以下で作れるということです。多分力ロードセルを自作するために本記事で単軸ロードセルの基礎学習が必要です。簡単に数分で校正と干渉補正が可能なシステム(SCP)を開発してます。
=>2020年11月29日の記事でSCPのチャンピオン測定に成功しました。
干渉補正の解説はこちらです。

ですので、ねじりが発生しないような荷重のかけ方で使えば普通のロードセル程度の精度は出ると思います。

【MFT2019】WS3自作ロードセル静的応力解析から実測まで検証<理論値と違う>

自作ロードセルの校正実験の例です。相関係数が0.999以上になれば合格ですが、0.99台でも使い方を注意すれば大丈夫です。要は、目的次第です。偏荷重でモーメントをかけないように荷重すれば自作でも十分使えます。

【MFT2019 】WS3校正クロストーク影響大<3軸で干渉補正必要>

【MFT2019】6分力センサ干渉補正結果<FxFy精度良い>

どうしても偏荷重がかかって、干渉が10%とか大きい場合は、3個ロードセルを作って
XYZ姿勢で直列に結合して3分力ロードセルにすれば、FxFyFzがでるので
精度的には相当よくなります。中華ロードセル3個直列に接合してもできます。

それ以上になると6分力計をつくらないといけなくなりますが、上記3分力ロードセルを卒業しないと
6分力計は難しいので、修行が必要です。干渉補正のやり方の記事群もあるので参考にしてください

※既製品と自作の選択(2020年8月末記)
本記事2019年3月に投稿した記事ですが、この1年半で、大勢のVISITOR様がご来訪されるようになってます。力を測定したいニーズをおもちの方で、既存のロードセルではなく自作したい方だと存じます。
信州MAKERSは、コト作りとモノ作りのトータルしたバランスをとった開発をモットーとしております。ですので、モノ作りだけなら、自作ロードセルを開発することに集中すればいいのですが、コト作り観点からすれば、ロードセルを自作することがコト作りを満足するのかという判断が入ります。反面、モノづくりへの集中力が不足している面があります。それを、WEB検索で関連分野の記事を参考にして、何とか目的に合致するモノづくりをしております。 信州MAKERSでは、コト作り目標に合わせて、大量生産で格安の中華ロードセル(中国製の家庭用スケール秤に使われている
ロードセル)を使ったり、自作の多分力センサを使ったり実現したいコト目標に合わせて力を測定するセンサを開発しております。下記に事例をご紹介いたしますので、ご参考にしていただければ幸いです。コト作り観点では、「世の中の力を伝達するモノを力センサ化するIOT」
というコト作りを夢見て開発を推進してきております。
=>具体的には、ロードバイクのペダリングに関わるクランク、サドル、ハンドルの2か所から入力される多分力測定とスキーブーツから板に入力される多分力測定が目標となってます。

既製品ロードセルを活用した開発例 1:中華ロードセルを使った3次元接触位置センサ(MFT2017出展)
2:中華ロードセルを使った5分力計(MFT2017の2020年再現版)
3:中華ロードセルを使った3Dプリンタのインテリジェントエクストルーダ
4:校正用3軸負荷プローブ(SmartCalibrationProveシステム開発 仕掛かり中)
自作多分力センサを作った開発例 1:3DP造形6軸力覚センサ(MFT2018出展)
2:ロードバイクパワーメーター(シートチューブ型クランク型
3:くわえるセンサ(口でマウスを操作するセンサ 未完)
4:高剛性円筒型アルミ6分力センサ(Fz精度でなかった)
5:ロードバイク部品を多分力センサ化する(シートとハンドルを多分力センサ化)

 ※2020年10月記
信州MAKERSの場合は、目的に応じて、短軸の測定は、既製品中国製ロードセルを便利に使ってますが、人間の発生する力の測定の場合、多軸になります。3軸以上の多軸の力センサは高価なので、自作にかぎると考えてます。自作ロードセルでひずみゲージ貼りに慣れると6軸力覚センサも比較的容易に自作できます。精度も既製品よりは落ちますが、3%以内には収まっていると思います。2019から始めたアルミ丸棒1本で作る6分力センサも自作ネタとしては面白くて、実用的です。いろいろな形状とサイズの多軸力センサが自作で作れるので、趣味以外に研究、仕事でもつかえると思います。

★自作の多分力センサの精度を1桁~数倍向上できるテクニックとして干渉補正計算があります。
Excelでもできる一般化逆行列計算での実験データ処理ですが、リアルタイム化してVB.NETのプログラムで処理してます。2020年後半は干渉補正をリアルタイムに実施できる校正システムを開発してます。
カテゴリーをご覧ください。

http://shinshu-makers.net/shinshu_makers/?cat=48
多分力センサの校正作業が膨大な手間と時間を食うので、数分で校正と干渉補正を計算してしまう
スマートキャリブレーションシステムを開発しました。多分力センサ開発の革命的なシステムです。

【SCP】SCP校正基礎実験成功<指先押引きだけで校正干渉補正数分で完了>

【SCP】干渉補正結果の評価方法検討<プログラムrev79へ機能追加>

 

 

 

※2020年1月記
 自作ロードセルも2年経過して、時代はIOT 5G時代になってしまってます。
 1分力のロードセルなら中華ロードセルを数百円で購入したほうが手間がないのでいいと思いますがここであえて自作をすすめているのは、1分力を作れれば3個つくって立体的に配置すれば多分力センサになる点です。時代は、多分力で複雑なセンシングができるものを求めてますので自作レベルも時代に合わせて高度化していかないと面白くないと感じてます。
 実用的な4分力センサは、1度トライしたのですが、別テーマが忙しく放置してますが、もし自作したい方がいらしたらこの記事を参考にするか私にご連絡いただければ相談には乗れます。ビジネスではありません。
信州MAKERS:ich4837@wd5.so-net.ne.jp

【MFT2019】Bite Force Sensor製作開始<ゲージ貼り精度>

 

【MFT2019】6分力センサ干渉補正やり方と校正冶具<高精度化>

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です