Roverbal式ロードセルがFzなどせん断力センシングに最適なことが分かったので、6分力計へ組み込むための設計パラメータを解析してます。今回は、穴形状がどのようなメカニズムになっているか解析しました。
●やり方
FUSION 360 静的解析を使って、応力計算して、各種穴形状で比較します。材質はABSにして、荷重も少なめのFz0.5Nと
50Nmm(0.5Nを100mm離した位置で荷重した場合)
①形状別シミュレーション比較
上記の形状でのFz荷重とFz+My荷重の応力からブリッジ計算すると
結果1:黄色のメガネ形状穴がモーメントをキャンセルしてRoverbal性を実現できている
結果2:穴の肉厚が厚くなるほどモーメントの影響が大きくなってRoverbalから離れていく
結果3:BULKでは、ゼロに近い出力しかでないためノイズ程度で大きな誤差がでてしまう。
結果4:t=1でもメガネとストレートでは、ゲインはストレートが大きいがたわみも大きく、モーメント誤差が大きくなっている
②穴の応力分布
点プローブを設置して値を目視でよみこむ作業をします。
Fusion360の解析はプロ仕様ではないので、一括してデータをcsvに出力してEXCELで処理ができませんので時間と手間がかかってしまいます。
■応力分布からRoverbal穴の解析
中華ロードセルのメガネ穴サイズで、無垢棒BULKと片持ち梁の応力分布を裏表でグラフにしました。
①BULKの直線傾きと±10mm位置で接する曲線となっている
②穴の影響は、±10mm範囲で正負に大きく変化するS字カーブとなって表れる
③S字の特徴は、R1R4側が大きく拡大されて、R2,R3側は、正負が逆転する特性がある。
③なぜRoverbalに穴が必要なのか推論した
上記実験結果でもわかるようにBULKの値がゼロに近くゲインがでない点、ゲインが大きいが、誤差が大きい場合もあるので
穴は、試行錯誤的に決めてきたのではないかと推定する。
結論:Roverbalの穴は、Fz分力のゲインを上げるために必要で
メガネ形状は、剛性を維持しながらモーメントをキャンセルする性能を確保するために必要な形状である。理論というよりは
試行錯誤的に現物に合わせて作り込む穴なのではないかと推定する。
●以後
メガネ穴が有利な点が分かったが、寸法をどう決めるかがまだ
分らないため、次は寸法について解析を進める。
いずれにせよ、Roverbal原理は、ゲインを稼ぐために必要なので、試行錯誤的にきめないと精度も決まらないことが分かったので3Dプリントで作るのに適した方式だと思う。