DIYでセンサを製作しても精度が出ないという課題があるのですが、ひずみゲージを使うと素人製作でも直線性は0.999以上普通にでます。しかも、感度がものすごく良いので、変位センサもひずみゲージを使ったほうが精度がよくなる場合があります。
今回のセンサは、スキー板用ですが、対象物が曲げ変形する場合の曲げ変形をセンシングするセンサです。
●開発経緯
STAテーマでは、2021年からGNSS RTK MovingBase技術で、精密なスキー板の軌跡と板の姿勢角を計測してきました。
2025年のSTA25からは、カービングスキー中のスキー板のターンメカニズムを解析するための計測を行います。
そのため、板の曲げとねじりを計測システムを追加します。
更に、板のTOP部とTAIl部でターンに対する役割が異なるので、MovingBaseを前後2セット設置します。
STA25のカテゴリーで経緯をご覧ください。https://shinshu-makers.net/shinshu_makers/?cat=65
●センサ原理
簡単な原理で、片持ち梁の先端荷重PとモーメントM,変形角Θ,変位δが比例するということです。
ひずみゲージブリッジは、曲げモーメントを抽出するブリッジになってます。
表裏対向するゲージ同士の出力を引き算することで、軸力成分をキャンセルしてモーメント成分だけ抽出できます。
●特徴
①先端の構造
片持ち梁自体は単純なのですが、先端へ与える力にはせん断力だけにする必要があるので、フリーな回転節が必要です。
その構造設計を工夫しました。写真のように、アルミ板先端を円筒で支えてバネで押しています。曲げ変形がはいると
アルミ板は上昇変位しながら前後にも変位するので、円筒が回って、バネが曲がって支える構造になってます。
この構造のおかげで、線形性が0.9999という高い線形性がでるセンサになってます。
<=先端の固定方法による応力分布の違いの図
●線形性測定
先端に正確な変位を与えるために、センサーの下に1本アルミ板を設置してその板先端にネジを通してナットで押し上げるジグを
作りました。
これに、加圧アーチ上にダイアルゲージをつけて約1mmごとに上昇させて、ひずみゲージ出力を測定します。
●測定:
防水キャップがついていると梁の先端での変形が拘束がはいるので、キャップ無しで測定して有り無しで比較することにしました。
①先端に防水カップをつけない状態での校正
相関:0.999919
傾き:-8.09474E-06
②防水キャップあり
相関:-0.99993
傾き:-8.06048E-06
結果:キャップ有で傾き値が減少しました。直線性は0.9999以上なのでキャップの拘束に影響は小さかった
●以後
全体を組み立ててビニルホースの変形とベース固定部の変形の影響を測定します。