【STA24】高性能IMUの仕様比較と仕様学習<米国Digikeyで調達できる>

STA24 BNO085のような低価格IMUでは、精度が全然ダメということが判明しました、では、高性能IMUとはどんなものなのか、データシート比較してみました。
◆Tactical IMUと中級IMU、低価格IMUとの顕著な違い;
●バイアス:ADIS16490を1時間放置しても1.8deg/hrしかドリフトしません。ADIS16460(7万円)が8deg/hrで、低価格IMUは、3600deg/hrと3桁違います。

●分解能:ADIS16490(77万円)のジャイロ角速度スケールファクタ(比例係数)が1LSBで7.6×10-8 deg/sec に対して、ADIS16460(7万円)0.005deg/secですので、6桁も上です。
低価格IMUのスケールファクタ 0.017deg/secなので23万倍分解能が上ですので、比較にならないほど、細かい分解能です。
=>私の場合は、RTKという超高精度(±3cm絶対位置精度、Heading±0.6度)のGPSチップと周期補間用IMUを併用するので、77万円のIMUより精度が出せるはずなので、わざわざ77万円を買わなくても
バイアスのチープなスペックのIMUでも、バイアスをRTKで補完してあげれば良い理屈となるので、STA24でバイアス補完方法の開発を秋まで粘ってみます。
=>低価格IMUでもFUSIONアルゴリズムをファームウェアとして搭載したモデルなら、静止ドリフトは、抑えられていますが、いざ、回転運動をするとFUSIONの誤差が累積して動きの回数とともに誤差が累積します。
BNO085をスキー場で使用した場合、FUSIONが複雑な挙動をするので、法則性がみられませんが、ところどころで、10度くらい真の回転角がずれることがあります。そこで、直進時にGPSでわかっている方向角で補正して
使ってますが、直線時の補正だけでは、レンジで10度くらいは出てしまうので、補正方法を開発していかないといけませんが、FUSIONのフィルターアルゴリズムを介しているので、法則性がつかみにくいので、
FUSION無しモードで使ったほうが良かったかもしれません。

※注意 高性能IMU(だいたい5万円以上のグレード)は、戦争に使われるリスクがあるので輸出管理が厳しい(米国通販のDIGIKEYなら購入できますが、何回か使用目的のチェックがはいります)
戦略的に危ない部品なので、輸出例第11項で細かくIMUのスペックが記載されていて、それに抵触する部品は、国内では製造メーカーは、個人には販売しないし、企業でも信用調査をして、密輸のリスクがないか調査してから、取引をするという危ない部品であることが判りました。
AnalogDeviceの代理店に聴いたらDigikeyなら大丈夫だそうです。
輸出代行業のページ https://yushutsu.com/matrix11/
さらに、メーカーによっては、企業名を確認しないとデータシートも渡してくれません。
●IMU・ジャイロの市場
参入メーカーは、航空機、武器メーカーがメインです。民生用の市場より、軍事用の市場規模がはるかに大きいのは想像できます。ロシアとウクライナで、ミサイルとかドローンを消耗して
ますがすべて高性能IMUが搭載されているはずですから、両国だけで年間数十万個も消費していると思います。1個10万円なら、両国だけで数数百億円の市場となるはずで、
全世界のIMU市場2千億円の市場規模があるみたいです。市場調査会社のページ https://www.gii.co.jp/report/moi1435827-mems-based-imu-market-share-analysis-industry.html

民生用の高性能IMUは、用途が少ないので、売れないし、売らないということになっていると思います。
ロボット掃除機は、低価格ジャイロだけで、組み立てているみたいなので、IMUのコストでは、民生品で数量がでないので、ジャイロ部分だけで制御しているみたいです、車載でも
IMUではなく、ジャイロ+アルファ程度で搭載されているみたいです。

●低価格IMUにはメカニカル仕様の記述がないので、ユーザーが学習できない。
数千円のIMUには、、メカニカルスペック値の記述がないため、高性能IMUと比較ができません。何とか、STMのIMUに、断片的な記述があったので、それを比較例としました。
IMUメーカーの中で結構親切なのは、信州が誇る企業エプソンです。プリンタだけでなく、クォーツ時計の歴史があるので水晶デバイスのMEMS製品たくさん製品化してます。
ジャイロの性能について、わかりやすい動画を公開してます。非常に親切丁寧で、SEIKO系の企業文化が感じられます。
①加速度センサとジャイロセンサの違いを説明

②ジャイロセンサの仕様書の見方
前編

 

後編

●比較機種 データシートを公開しているメーカーだけで比較 (海外にはたくさんのメーカーがありますが今回は有名どころ)

メーカー グレード 型番 形式 概価格(予想値 見積も個人ではとれない) 製品LINK
SEIKO EPSON MIDレンジ M-G354PD 3軸加速度+3軸ジャイロ+MPU 約7ー8万円らしい https://www.epson.jp/prod/sensing_system/pdf/m-g354_briefsheet_j_rev20220401.pdf?230919
AnalogDevices MIDレンジ ADIS16460AMLZ 3軸加速度+3軸ジャイロ+MPU 約7-8万円らしい https://www.analog.com/jp/products/adis16460.html
AnalogDevices Tactical ADIS16490AMLZ 3軸加速度+3軸ジャイロ+MPU 約77万円らしい https://www.analog.com/jp/products/adis16490.html
ST Micro 低価格 lsm6dsv16x 3軸加速度+3軸ジャイロ+MPU 3-4千円 https://tinyurl.com/2x4b7avp
SwitchScienceで売ってます
https://www.switch-science.com/products/9025

●IMU仕様を読むための学習
① IMUの誤差の基本の解説はこれが一番良かった。https://www.gnss.ca/app_notes/APN-064_IMU_Errors_and_Their_Effects.html
次によかったのはここhttps://www.vectornav.com/resources/inertial-navigation-primer/specifications–and–error-budgets/specs-imuspecs
これから、抜粋させていただいた図
・縦軸センサーアウトプット(SensorOutput;測定時に出力される値)
  ・横軸センサー動きのパラメータ(実際に動いたときの真の値 加速度とか角速度とか)
  ・バイアス(bias :オフセットした下駄) 
  ・スケールファクタ(scale factor:直線回帰の傾き)

②用語の重要な順から列挙
 2-1INPUT RANGE 
ジャイロの場合は、最大角速度を示す。最大角速度を超えると、エラー値がでてしまってデータにならないから、測定時の最大角速度を知っておくことが一番大事
加速j度の場合は、最大加速度 最大値を超えると壊れてしまうセンサもあるので、最大加速度は重要。

2-2 BIAS
電源オン直後と電源オン中と2項目がある。
電源オン直後:Bias initial errorとか
TURN-ON BIAS STABILITY
とか BIAS REPEATABILITYと呼ばれている
電源オン中:Bias stabilityとか
IN-RUN BIAS STABILITY
とか BIAS INSTABILITY

 

    ジャイロなら一時間放置でどれだけずれるかをdeg/Hrで表現してます。加速度ならm/sec2で表現

2-3 ScaleFactor(変換係数 傾き)

センサで一番重要な物理現象値の変換係数です。これにばらつきがもろ精度になります。
ジャイロなら、
アナログ出力のスケールファクタ=(deg/sec)/mV
デジタル出力のスケールファクタ=  (deg/sec)/LSB   LSB は、1ビットの角速度の意味で、 10bitがフルスケールなら1024倍するとフルスケールになる、。
多摩川精機の解説です。https://mems.tamagawa-seiki.com/words/scale_factor.php
スケールファクタの誤差は、%で表します。

https://www.vectornav.com/resources/inertial-navigation-primer/specifications–and–error-budgets/specs-imuspecs の説明コピー

 

 

 

 

 

 

●仕様比較表
学習したてなので、私の理解が間違っているかもしれないので、データ値見ながらご自分で判断してください。
直観的には、安物は、BIASが極悪いのが特徴なので放っておくとどんどんズレしまうのが安い証拠となる。
高級品ほど、放っておいてもズレない。
しかし、安物は、測定レンジが広い、高級品ほど測定レンジが狭いこれは、MEMS IMUの原理で、分解能を上げるとレンジが狭くなる反比例関係はどうしようもない。
スキーの場合、レンジ±450度/secでは、ジャンピングターンでは、フルスケールオーバーになってその部分のデータが無効値になってしまう点が大きな課題となる。

 

●以後
高級IMUでも、いろいろかかえている課題がありますが、数十万円ださなくても7万円くらいでも相当良いyaw角精度が得られそうなので、購入前にサンプルを借りて実験したいです。
購入は、信州MAKERSを個人事業主として登録すればいいのか、間にどこか会社をいれるのか、これから考えていきます。

 

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