【RTK24】SimpleRTK3B Unicorecomm UM980チップ追加<テスト販売か?>

RTKチップ市場、2024年になって、飽和状態になってきたようで、伸びが止まっているようです。
●Ardusimple社が中国製RTKチップ Unicore UM980搭載ボードを試験販売始めました。
https://www.ardusimple.com/product/simplertk3b-budget/
特徴は安い$317、RTKが50Hzで動作するみたいです。
=>コメントに試してみたい人用と注意書きがありますので、性能、品質を保証しかねるようです。
何故、このようなチップを試験販売しなけばならないのかというと、RTK市場の停滞が原因だと思われます。
●RTKチップ 民生市場の2024年の状況推定
新規市場成長のフェーズでいうと、下図で、アーリーアダプタに普及が終わった時点と思われます。

●Ardusimple社の模索
 F9Pの次の世代として、SeptentrioのMosaicチップを提案してきたのですが、ちっとも売れてない
みたいです。原因は、高すぎる。ボード1枚10万円となると民生というよりは、計測業務用となります。個人で使うユーザーはほとんどいないと思われます。そこで、搭乗させたのが
Unicore UM980 チップです。
中国製でSeptentrio Mosaic X-5 $650の半額$317ですが、F9P$197よりは高いです。
仕様の違いは、Septentrio Mosaic X-5 RTK100Hz が50Hzと半分の速度です。
しかし、F9Pの10Hzの5倍の速度がでて値段1.6倍です。
=>Mosaic X-5 と F9Pの中間にぶち込まれた、市場への起爆剤的なチップです。

●信州MAKERSの見解

現在のRTKが普及しない原因は、速度と価格だけではありません。
原因1:使い方が難しい
=>マイコン電子工作、PCのプログラムが得意でないとRTKは、いじれない。
原因2:RTKチップの制御規格がバラバラ
=>Ubloxは、UBXプロトコル、SeptentrioもUnicoreもそれぞれ独自規格です。
=>F9P用に組んだシステムからSeptentrioに乗り換えるとシステムの作り直し手間が発生する。
コスト的には、チップのコストの何倍もかかる手間が発生するので、乗り換える人少ない。
原因3:チップが高い
=>F9P $200  MosaicX5 $600   UM980$300とPCのCPU並みの価格帯である。
=>数量がでないSOCなので、開発費の償却、ロット単価が高いなど
普及させるには、価格を下げたいが、数量がでないので、価格が下げられない ジレンマ

原因4:キラーアプリケーションがドローン、測量、農業トラクタなどマイナー業界
=>GNSS技術の本質として、視界がわるい場所では精度が出ない運命にあるので、測量と農場でしか
活躍する場所がない点でアプリケーションが限られます。ドローンは、視界は有望です。
=>信州MAKERSでも、スキー場に特化した用途で開発してます。車載では、RTKは無理です。
=>運動場、河川敷など、視界が良い場所でのアプリケーション開発が少ない

結論:RTKというより、STEM教育が普及しないと先進的な技術を個人が使えるようにならないので十年単位で、STEM教育をうけた子供たちがRTKの普及の原動力となると思います。 
  位置推定分野は、IMUとGNSSとAI、機械学習で大きなイノベーションがでる分野ですので
 STEM教育で育った若い人が挑戦していくのではないかと期待してます。
 信州MAKERSとしては、そのような若い人への道しるべとなればよいと思います。

 

●UM980の仕様
Unicore社製品ページ:https://en.unicore.com/products/surveying-grade-gnss-um980/

データシートは、Unicore社ではログオンが必要なので、Sparkfunのボード仕様にあります
https://www.sparkfun.com/products/23286

https://docs.sparkfun.com/SparkFun_UM980_Triband_GNSS_RTK_Breakout/assets/component_documentation/UM980_Datasheet.pdf

スイッチサイエンスでの紹介記事
https://www.switch-science.com/blogs/magazine/precise-positioning-meets-magnetic-marvels

SarkfunのUM980ボードページ
https://www.sparkfun.com/products/2328

 

特に、Septetiro Mosaicを超える性能はなさそうですので、価格で勝負ということだと思います。

しかし、中国製ということで、品質と供給の信頼性が問題となります。
Ardusimple社としては、試験販売して、手ごたえがあれば、Septentrioの値下げ圧力
UbloxのF9Pの次世代チップへの加速を促す目的があるのかもしれません。

 

 

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