【RTK22】3年目を迎えるRTK遊び次の構想<初心に戻って教科書学習>

2019年トラ技10月号を見てから、始めたZED-F9P遊びですが、開発目的のスキーターンの精密測定解析は、phase1まで到達しました。phase2は、phase1の課題を解決してきます。そのために、GNSS RTKの基礎技術習得が不足しているので、初心に戻って、2019年トラ技2月号と10月号を再度学習し始めました。
<トラ技2019年2月号と10月号は、バックナンバーは売り切れていて、オークションなどで、2-3千円とプレミアム付きで出品されてますが、注意は別冊がついていないと役立ちません、DVDは、無くても大丈夫です。>

●この2年間の経緯
信州MAKERSは、この5年前から人間の運動を計測するセンサを開発するのがテーマで活動してきてます。
スキーターンの測定をしたいコト作りがこの5年の念願だったのですが、2019年秋にトラ技10月号を見て、センチメーター級GPSが低価格化して個人の電子工作で、できるようになったことを知って、トラ技編集部に問い合わせすると、優秀な編集者様から丁寧なご解説をいただいて、スキー滑走での測位は可能なことが判りました。スペインのArduSimple社から世界一安いF9P2個構成のHeadingKitを仕入れて、スキー片足で測定成功しました。2020年の冬にもう1セットHeadingKitを揃えて、スキー両足での測位実験にも成功しました。
測定成功をArduSimple1社に知らせたら、喜んでいただいて同社ブログ記事に掲載していただけたことが良かったです。https://www.ardusimple.com/ski-turn-analysis-with-rtk-gps/

※2022年4月末追記
RTK位置精度について、昨年までの精度が1cm分解能だったのを0.1mm分解能と2桁アップさせました。
基線長ベースで現在位置を計算することで、RTKの最高分解能を使って精度を計算管理することにしました。
基本的な基線長解析のやり方は、下記記事です。

【RTK22】2kmと51km基準局での基線長ばらつき精度比較<ubx-csv変換TOOL公開>

 

※2022年3月26日追記
RTKLIBの学習始めました。高須先生の論文が非常に参考なりました。学習成果として、GNSS関係の精度の表記のしかたを本ブログでの扱い方を改めました。F9Pが出力してくる精度の確率分布は1シグマなのでばらつき全体の68%範囲までしか表してないことが判りました。そこで、私の実験結果を表記する場合は、F9Pの精度を3倍して3σ値として精度ばらつきを表記することにしました。そうすることで、読者が同様の実験をしたばあいでも99.7%の確率で再現できるはずなので、本ブログの実験の信頼性が高まります。HAcc1cmでも実際は3cm程度のばらつきは、あり得るということを前提としてRTK実験をすれば安心です。RTKLIB学習記事は下記です。

【STA22】RTKLIBいじる その0<RTK計算原理とRTKLIB用F9P設定>

●RTK遊びをやって自分が成長した点(65歳からでも伸びれる)
①測定データを処理してアニメーションにするためにVB.NETを自己流で作れるようになった。
②ESP32,M5Stackシリーズのマイコンを常用することができるようになりました。
③マイコン間無線通信がいじれるようになりました。
④スキー場でフィールド測定して多くの障害を経験して電子工作ガジェットの実装技術が身に付いた。
⑤360度動画撮影方法とRTKデータを同期させて表示するプログラムを作れるようになった。

●RTK遊びで不足している学習
 ①GNSSの基本が全然頭に入ってない
=>衛星電波から測位してcm精度をだせる原理を意識しないで適当に使ってきているので、
いざ、精度を向上するとかに手がだせない軟弱さがある。
②F9Pの機能に頼って、RTKの原理が頭に入ってない
F9P以前からRTKをいじっている人は、RTKの原理をよくご存じですが、私のようにF9Pから
始めた場合は、F9Pが自動的にRTK計算をしてくれるので、原理を知らなくても使えてしまいます。
その弊害として、RTKの応用が効かないため、新しいRTKの利用法の開発できません。

=>トラ技の2019年2月号のRTKLIBの学習と岡本先生の原理記事を学習して理解することが重要だと判った。

●トラ技2019年2月号と10月のご紹介
RTKの初心者には、最適の書籍です。これを見ながら、RTK電子工作活動して、何年も遊べます。
①2月号は、RTK記事が本誌で129ページ、別冊で63ページもあります。
茨木高専の岡本先生とマゼランシステムジャパン社の岸本社長の入門者用解説記事が良いです。
別冊は、F9Pの前モデルM8Pについての記事ですが、UcenterとRTKLIBの基本的な使い方を解説してあります。
ラズパイでRTKLIBを使った基準局を作る解説もあります。

別冊も重要です。

②2019年10月号はF9P一色になってます。
F9Pの初期設定と移動局、基準局の作り方を解説


別冊も重要です、ESP32でつくるNtripレシーバーのプログラム解説記事が阿久津様が書かれてます。

※2022年1月7日トラ技を一通り目を通して新たな教科書をつけました。測量技術者の試験用教科書です。
GPS測量技術
https://www.ohmsha.co.jp/book/9784274103377/

●基礎学習してやりたいこと

①RTKLIBを使えるようになること
F9Pでブラックボックスで使っていたRTK計算をRTKLIBで具体的にいじることで、RTK技術の理解を深めたいです
それによって、F9Pの応用とそれ以外のRTKチップの性能の理解が進められます。

②スキーターンアナライザの高速化
現在8Hzレートで遅すぎて、実用的でないので高速化を検討します。
■新しいチップの検討
Heading速度が50HzのモザイクHチップ搭載のSimpleRTK3BボードがArduSimple社から発表になってますが、 いかんせん、1チップにBaseとRoverが搭載されているので、アンテナが離れた用途では使えない欠点があります。
■衛星数をしぼる
GPSだけなら、RTKでも20Hzでます。しかし、精度がどの程度低下するかを実験してみないと
わかりませんので、衛星数と精度の実験と衛星数選択システム開発が必要です。
■RAWデータでログ
F9PでもRAWデータ測定なら20Hzまで対応してます。RAWでサンプリングした後、RTKLIBで
どのように処理してMovingBaseの値まで計算するのは可能なのかわからないのですが、上記基礎学習をしながらやり方を模索していきます。
■IMUで補間する手段
歩行の測定でIMUとRTKの併用を検討してますが、スキーでもRTK8Hzサンプリングの間を
複数のIMUを配置することで、補間できないか実験していきます。

③スキーターンアナライザの他のセンサー開発
RTKは、スキーターンの結果を教えてくれますが、人間の動きと力の出し方を教えてくれません。
スキーターンアナライザでのRTKの役割は半分しか満たされませんので、人間の動きと力の出し方
のセンシング技術の開発も平行して進めてます。
2021年には、スキーのしなりの曲率を測定するセンサを開発しました。ターンは、踏み込むことで、
スキーがしなって、曲率にしたがってターン弧をえがきますので、スキーのしなりとRTKのターン弧
を同時に測定することを実現したいです。更にスキーブーツとビンディングを6分力センサ化して
人間の出す力をセンシングするところまで2022年はいきたいです。

●以後
正月にトラ技を学習しながら、上記課題とやり方を検討して、RTK22の構想を練っていきます。
2月には、RTK実験サイトが長野市にできますので、実験がすすみます。

 

 

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