STAをスキー場で実験していると、珍しがって、好奇心旺盛なスキーヤー、ボーダーが話しかけてきます。
その中で、板の軌跡とともに板のたわみの定量化を同時にしてほしいとのご要望がありました。
確かに、板をたわませるというフレーズは、スキー教習では日常的に使われる言葉で非常に重要である
ことだと再認識した次第です。私の場合はテレマークスキーメインなので板のたわみでターンするわけではないので、板のたわみ感覚がない点で気づかなかったということだと思います。
※2024年夏から新たなたわみ+ねじれセンサを開発しました。STA25では、たわみねじれ 迎え角を精密に測定して、プロスキーヤーのターンを解析します。
関連記事のリンク https://shinshu-makers.net/shinshu_makers/?s=STA25+%E3%81%9F%E3%82%8F%E3%81%BF
※ハイテク分野に限らず、スキーの研究でも欧米に完全に負けている日本
①NORWAYの研究論文は、今までのスキー研究論文を総括してあって、判り易いです。
https://www.frontiersin.org/journals/sports-and-active-living/articles/10.3389/fspor.2020.00025/full
この論文のスキーターンの公式で、自分のターンデータを代入したら全然合ってなかった、ズレズレなターンは、公式に乗らないということで、公式に乗るようなターンが目標となります。
自分のターンでも真円に近いターン弧を描いた場合は、ズレも少なく、ブレも少ない良いターンでした。この論文は、ノルウェイの代表選手のターンを基に解析してあるので、トップクラスのターンは公式にのっているということです。
②スイス連邦工科大学のドクター論文でスキー板のシミュレーションしているのをみて、
日本は、遅れていると実感しました。私なりにそのギャップを埋める活動をしていこうと努力してます。
予算とか規模の話しではなく、研究者の目のつけどころが違う感じがします。
◎基本原理は板を傾けないとタワみません。そこで滑走中の板の姿勢角を測定しました。
たわみは、RTK技術のMovingBase法でスキー前後に設置したアンテナ間の距離をミリオーダーで計測することで
ターン中のたわみを測定しようとしてます。
※上記写真の測定結果
2023年2月16日 スキー場へ行って、初測定で、スキー板のたわみと姿勢角の関係測定できました。RTK MovingBaseの高精度を活用することで、板のターン中のたわみが見れる可能性がでてきました。 詳細はこの記事です。
※2022年6月追記 RTK MovingBase法で、スキー板の変位を測定できるかトライします。
ひずみゲージ式だと防水、温度特性など、スキー場での使用に不安があります。そこで、スキーターンアナライザで板前後に設置してあるアンテナの変位を測定することで、スキー板のたわみを定量化できるかトライします。
昨年の実験データでも、ターンの時に、アンテナ間の変位が大きく変化しているのが、わかってますので、
あとは、スキー板のたわみとアンテナの変位の関係に線形性がみられるかです。基礎実験として、板のわたみを測定してみました。
※2021/7/17スキーのベンドセンサー作って校正:25kgでR=7mたわむ(センサーの原理と製作)
※板を傾けないとたわまない解説動画
●板のたわみ計測の検索
1:秋田大学の論文
1-1靴底に多分力センサをつけて滑走時の多分力測定
センサの静的な6分力キャリブレーションデータが添付されてないので、センシングシステムとして
の実力がわかりませんが、ロードセルメーカーの3分力センサを靴底に前後で3分力センサをつけて6分力化する手法ですが、これでは、真の6分力がでないと思います。モーメント成分が検出ができてないと思います。
信州MAKERSで2021年度基礎実験してみます。
1-2:秋田大学の論文
ウェアラブルセンサシステムによるスノースポーツ用運動解析システムの開発と評価
IMUを使っているので、ターン計測精度がでてない。
https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-15K01548/15K01548seika.pdf
1-3:センサーシステムを用いたスノーボードの動作計測・解析
https://air.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=3303&file_id=46&file_no=2&nc_session=t4uudgoke885to0mgriqd270a4%20target=
1-4、
2:2010年以前のスキー研究
2-1、スキーにおける工学的研究
http://js3.jp/js32018/wp-content/uploads/2018/08/Sympo_Tada.pdf
2-2、冬季オリンピックのメダル獲得を目指す!工学的アプローチによるアルペンスキー選手の競技力向上
https://www.jsme.or.jp/dmc/Newsletter/No61/No61.pdf
2-3,小賀坂スキーの特許公開
スキープレートの基本特許 ねじりをおさえてたわみを損なわない
https://www.ogasaka-ski.co.jp/la/about/proprietary/
2-4、スキーの科学とスノーボードの科学
http://www.moge.org/okabe/temp/ski.pdf
2-5 Fiber Bragg Grating 法を用いたスキー板およびスノーボードのたわみ量の計測
ハイパフォーマンススポーツセンターで研究されているらしいです。
https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/
FBGとは
https://www.cmiws.jp/faq/fbg%E3%81%A8%E3%81%AF/
この説明でひずみゲージと光ファイバーセンサの比較をしてますが、あまりにも素人っぽくて
このファイバセンサの信頼性もいまいち疑いたくなりました。(失礼しました)
5、スキーヤーからのアプローチ
5-1,プロスキーヤーのたわませ方
エッジがあるので、単純に踏んでもきれいにたわみができないので、スキーの構造に合わせた
力のいれる方向が必要だと解説しています。
4 , たわみ測定
4-1、オリンパス スキー板のエッジ測定
https://www.olympus-ims.com/ja/applications/3d-ski-edge-measurements/
5一般のスキーヤーによる考察記事
5-1、太ったスキーヤーの方の記事面白いです。
http://skiingfatman.net/category/skiarts/ideas
5-2、踏んでもスキーはたわまない
http://blog.gyochan.jp/article/118831362.html
5-3,荷重と加重 (と過重)
https://skibumpslabo.com/archives/527
5-4、スキーボードメーカーさんの解説 トーションについて【もっと詳しく】
http://grskilife.net/%E6%9C%AA%E5%88%86%E9%A1%9E/%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
●直観的なたわみ
材料力学的には、せん断力よりモーメントで与えたほうがたわみは大きく得られるはずです。
このへんの実証実験からはじめて、今まで培ってきた分力測定技術の応用をしていきます。