【PMD2018】Crankはそりねじり変形が重要<Simulationと実験値一致>

クランクに貼ったひずみゲージをiTensionで角度を振って応答を測定した結果
BendブリッジもTorqueブリッジにおいてそれぞれ出力ゼロ点角度位置±10度前後で異常値がでる現象が発見されました。この現象、昨年も見られたのですが、座屈ではないかと処理してデータ処理でこの角度範囲をマスクしてしまったのですが、今年は、徹底して解析してます。

●そりねじり理論は教科書にでてない

私もねじりに関しては、異形断面では応力が不均一になることは知ってましたが、
それがどういう理論で説明されているのか知りませんでした。今回は、クランク
で異常なデータを発見したためよい学習機会となりました。

①そりねじり理論の解説記事
判りやすい解説論文がありました。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscejeep/73/1/73_76/_pdf/-char/ja

そりねじり問題は、建築土木の構造力学で扱われる現象で一般的な材料力学では扱ってない理論で材料力学の教科書にはほとんど掲載されてないそうです。
他にいくつかリンク先を備忘録しておきます。
・純ねじりとそりねじりが詳しい論文http://www.akashi.ac.jp/~miyoshi/str_eng/Theme05/%E7%B4%94%E3%81%AD%E3%81%98%E3%82%8A.pdf

大部ですが、感覚的に納得できた図をコピペします。

棒状の角断面の場合、ねじり変形とともに軸方向での変形(そり)が発生する
そりねじり理論で扱われる力の種類は下図で軸方向のそり力が注目です。

棒状のはりにねじりを加えるとそりとして軸力が発生することが理論的に説明される現象であるということですので、論文の計算式を学習するより、てっとり早く、実験で得た現象をFEMシミュレーションを使って応力分布を調べて合致するか確認してみました。基本的には、理論的な背景を理解してからFEMシミュレーションを使うことが前提です。今回もそりねじり理論があってそれがあるからFEMしてみようとなりました。

●Fusion360静的応力解析でクランクモデルで応力解析
角棒にペダル軸とBB軸をつけたモデルに踏力として1000Nを0度~90度までかけて
解析しました。
①クランクへのねじりモーメント有無の影響
クランクへの直角方向の踏力がペダル軸から60㎜にある場合と0mm(クランク上)にある場合で比較した解析です。

ここで特徴的なのは、ゲージ位置で左右プラスマイナスの応力分布が発生している点です1ゲージでなくペアで並べてあるので、相殺されるはずですがすこしでも応力分布とゲージ位置がずれるとゼロバランスが崩れるので、この応力分布上にゲージ存在することは危険だと思います。

②角度毎応力分布
1:0度と5度で大差がでた

0度と5度応力分布が大きく変化してます。これは、5度で軸力方向に力が加わってことによって軸力ゼロだった0度の応力分布とモードが変わったということで理解してます。実験でデータでも劇的に0度と10度で違ってますので実際の現象と一致してます。

2:10度、30度、45度
角度が増すごとに、裏面のマイナス分布の面積が小さくなってきて応力分布が安定してくることがわかります。これも実験データと一致します。

3:75度、90度 だとBENDでなくTORSIONの分布が乱れてくる
今度は、Torqueゲージでデータ異常になる角度範囲ですが
やはり青囲み付近では、75度より90度が応力分布の乱れが大きくなってます

 

●以後
理論背景とシミュレーションで実験データの異常値が説明できたので、
ゲージ貼り位置の変更とブリッジの組み方を検討していきます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です