PLAの粘弾性挙動を確認してから、一筋縄では、3Dプリント版6分力計作れないと想定して、解析の準備をしてます。
●準備1:ひずみゲージの線膨張率の差がどのくらい精度に効くか=>TML(東京測器研究所)へプラスチック用ひずみゲージを発注しました。受注生産なので月末に届きます。
=>当初の予定では、4ブリッジの原理では、ゲージの線膨張率は、4枚が一定ならアルミ用でも線膨張が同じなので、プラスチックに貼っても線膨張による抵抗値変化はキャンセルできるはずでしたが、TMLさんに質問したら下記回答がきました。
【ABS樹脂は線膨張係数が約70με/℃有り、非常に温度変化によって伸び縮みする材料です。そこにアルミ用(補償料-23με/℃)を例え4ゲージで貼ったとしても完全には零点の温度移動を補償する事はできません、そして測定器からの通電による微小の温度上昇によって零点の移動が発生し数値が安定する事はありません。】
●準備2:ひずみゲージアンプの違い
HX711とLT1167を比較してみました。
●準備3:3D造形のABSとインジェクションで作られたABS部品との差
=>ABSの角材を取り寄せてます。
●構造設計の再検討
=>金属の6分力計は不静定構造なのですが、樹脂の場合
不静定構造だと非線形性が出易くなりそうなので、静定構造で作れるかアイデアを検討します。
●荷重ーひずみ波形測定実験
実験水準:ABS、PLA2水準、アンプ HX711とLT1167の2水準、荷重5水準、拘束 両持ちと片持ちの2水準で
負荷方法は上がり、下りの2水準
グラフから直線回帰して相関係数を算出して比較
①PLAの両持ち
当初から異常値がでてた条件です。
LT1167とHX711ともに上がり下りでゼロ点にもどらないという非線形挙動がみられます。何故このようになるのか
以後各水準をふることで原因がみえてきました。
②PLAの片持ち梁
両持ち梁の不静定拘束が強すぎるような気がしたので、単純な片持ち梁で静定拘束で負荷をかけてみました。
HX711は完璧に線形、LT1167が少し劣る線形がでてました。この差はこれから詰めていきます。
結果として、PLAの非線形挙動は不静定拘束時に発生するということが判りました。静定構造で使う分には、線形挙動するみたいです。
③ABSの両持ち
ABSは、PLAより硬いので安心感があります。
両持ち梁でも直線性0.999以上はばっちりでてました。
これは、PLAとABSの物性差と思われます。
④ABS片持ち梁
両持ち梁より直線性がおちてますが、0.99以上はでてました。
HX711のほうがゼロドリフトが大きいです。
●考察
考察1:PLAは拘束方式で雲泥の差がでる。ABSは、さほど差がでない。これは、強度特性の差だと思われます。
考察2:ひずみゲージの線膨張差によるゼロ点ドリフトは、通電時とか気温変化時に大きく発生する。プラスチック用ひずみゲージが必要かどうかは月末に入荷してから評価する。
考察3:アンプの差は、HX711とLT1167では、明確に差がみえてないので、今後も継続して評価していく
●以後
準備がそろったところで、線膨張差、ABSの造形方法の差を白黒つけて、6分力計の構造設計とひずみゲージと測定方式を決めていく。2月末目標で決めたいと思います。