本開発の目標としているパワー値の精度を管理するには、
パワーW=仕事量J/時間sec=力N*距離m/時間sec
=力N*速度m/sec
ですので、力の大きさ精度と速度の精度の両方を管理していかないと精度が上がらないのということです。
角速度で計測誤差がでたら結局パワー値の精度がでないということになります。
そういう観点からすると、PowerTapは、理想的かと思います。
ホイールの回転は、変動が急激でないので、角速度の誤差が少ないですが、クランク式だとペダリングの角速度は、半周期の間に数十%は、毎回変動しますので、そこまで追える角速度計測しないとパワー値の精度がでません。本開発でも、ペダリングの踏力の精度以外に、角速度測定精度も影響が大きいので、力測定と角速度測定の両輪を回していかないとパワー値を管理できません。
●回帰式をクランク角度で補正する
昨日のデータ個別の回帰式では、各水準内では、
3%~10%誤差範囲でひずみ値を接線力に変換できていることが分かりました。本日は、さらに水準間での関係での補正精度を検討します。
※ひずみ値が以前の半分しか出力でてませんが、半固定をいじってしまって、元に戻せないでおります。ゲインが小さいですが
校正全体の傾向は同じだと思います。
①ペダル角の各水準を直線回帰した傾きと切片をプロット
例によって、上死点、下死点付近の角度範囲の傾きは値が小さくなってます。これは、与えている力に対して、ひずみゲージ値が大きく出力されている現象を示してます。上死点、下死点付近踏力は、トルクに対して効率が悪いジオメトリーになっているためなのでSINΘで補正しないとトルクと比例しないということです。
直線回帰した傾き値は、クランク角度に対してSINもしくは2次曲線を描いてます。2次式とSINカーブで合わせてみました。2次式のほうが合っているように見えます。
切片も
2次曲線のほうが合っているようにみえます。
●2次式とSINで傾き、切片を補正した場合の
ひずみ値からクランク接線力の変換表を作りました。
左の緑枠が測定値の回帰式で作った表、真ん中の黄色枠は、SIN補正で作った表、右が2次式で補正した表です。
灰色の範囲は、測定値と大きくかい離してしまっているデータでその角度データは精度がでない範囲です。
2次式に期待したのですが、角度が小さい範囲はぴったりと合うのですが、45度以上はぜんぜんだめでした。切片が狂うと大きく狂います。逆にSINは、9度、18度、30度はダメですが、45度以上はぴったり合ってますので、踏力が大きくなる範囲で精度が出るので、SIN補正のほうが良いと判断します。
前回のペダル治具に比べて、0度~30度が合ってない感じがします。ペダル角度と踏力ベクトル角度もプロットしてみました。
黄色は、踏力ベクトルとクランク接線方向の角度です。この角度でCOSすれば接線力になります。ペダリング効率ともいえます。45度~135度が効率がよい範囲であることがわかります。紺色は、ペダル角度MAX値、ピンク色はmin値で、ペダルを踏みこむことでどうペダルが回転してるかを示してます。
0度から45度までの間は、ペダルが水平からー10度で平ら気味になってます。60度以上は、-10度から-25度までの範囲となります。この差が効率の差となってます。
SIN補正の場合、0度~30度が悪かったのは、ビンディングペダルが原因ではないかと疑ってます。ペダル治具では、真下踏みでしたが、ビンディングペダルだと前に押す力も発生できるのでベクトルがペダル角度以上に前向きになっている可能性があります。その前向き方向は、フレームひずみゲージの補正式からはずれてしまうということかと思います。パワー値にするとたぶん全体からすると小さい誤差だと思います。クランクの軸力も測定すれば白黒つけられるとおもうのですが、MFT2017準備で余裕がないので、空いたらやってみます。
●結論
ひずみゲージ値からチェーンテンションを得るには、
クランク接線力=SIN(クランク角)*{傾き*ひずみ値+切片}
という以前からの計算とほぼ同様になりました。
精度は、ひずみ値を力に変換するだけなら5%~10%程度になりすが、クランク角度補正がはいるとどうなるかは実際に踏んでみて動的に比較しないとわからないと思います。クランクにBLECPUをつける検討もしないといけないかもしれませんがこれも時間の余裕があればということにします。
目標として、半周期に一回リアルタイムで10%以内の精度でパワー値だせればいいかなと思います。
●残課題
課題1:クランク角を精度よく実走行での耐久性信頼性をもった方式で、測定できるセンサ、エンコーダーを開発必要。
課題2:アンプゲイン値変化するので、実使用時にどうやって運用していくかを考えていかないと辻褄が合わなくなる恐れがあります。
課題3:私のような校正作業をしないとシートチューブにひずみゲージを貼ってパワー値をSimple&低価格で得られるという本開発の特徴を失ってしまうので、簡単な校正方法も考えます。
課題4:ひずみゲージ貼り替えで様子が変わるか?
2個1セットのゲージに貼り換えます。
●以後
明日、左踏みのデータを間引いて測定します。
その後、ひずみゲージを貼り換えて再度校正値だします。
・クランク角エンコーダーもホール素子で作ります。
・パワー値をアナログ針表示のほうが面白いと思いますので、
アナログ針メーターを作り始めます。
・6分力計も3Dプリントしないといけません。
※気づいた点
ペダル治具のときとひずみアンプLF1167の半固定を絞ってしまってあってゲインは半分以下になってしまってました。
基本的には関係無いですが、ゲインに関してもフレ幅を管理しておかないといけません。