校正データの解析で、本パワーメーターでの最も重要なパラメータは、ひずみ値とクランク角度であることが判りました。
ひずみ値を中心に検討してきましたが、クランク角度が片手落ちでしたので、急遽、クランク角センサを作りました。
やり方は、高性能反射フォトセンサS7136を使ってアウターチェーンリングの歯先を検出してカウントしてクランクのエンコーダーとして使うセンサーを作ってみました。
●今までのクランク角度検出方法
今までは、ひずみ波形のゼロクロス点の時間を測定してペダリング周期としてきましたが、これにはメリット・デメリットがあります。
メリット1:ひずみゲージだけで、パワー測定が可能なので
安くて、簡単に作れるメリットがある。
デメリット1:半周期の速度は、その半周期が終了した時点で判明するためパワー計算は一漕ぎほど遅れて表示される。
デメリット2:半周期を等角速度で回転する計算をするので、データ精度が悪くなる。
●静的校正用のクランク角センサ
IMUを使って静的測定してましたが、実際に動的に測定するには、クランクにCPUと電池と無線モジュールを搭載しなければならないので、コスト、手間、難易度がぐっと上がるので、本開発では、目標とはなりません。(Simple&低コストにならない)
人によっては、CPUと無線モジュールを使ったほうが難易度が少ない方も居るかもしれませんが、信州MAKERSの場合と言ったほうがいいかもしれません。
●世の中で回転速度を計測する方式
<ロータリーエンコーダがありますが、価格と耐久性の問題で今回は、除外してあります。>
クランク角を測定する手段の調査をしました。
①リードスイッチと磁石と使う方式
自転車、バイク、自動車もこの方法が多く使われています。
パイオニアのパワーメーターもこの方式です。
https://www.oki.com/jp/column/2015/03.html
②ホール素子を使って、円周にNS着磁したローラの回転を測定する磁気エンコーダー方式
自動車のベアリングに仕込まれている例があります。
http://www.akm.com/akm/jp/product/add/magnetic_sensors/0029/
③ホール素子を使ってギアの歯先を検出する方式
GearTooth Sensor
http://www.tdk.co.jp/techmag/inductive/200804/index2.htm
この中で、本開発にとって、一番手間がかからないシンプルな方式は、③のギアトゥースセンサではないかと思い。
なんとか、アウターの歯先を検知する手段がないか考えました。5月の連休に遊んだ高性能反射式フォトセンサS7136なら
歯先を検出できるのはないかと思い、深夜に基板作りを始めました。
浜松ホトニクスのセンサS7136は、有名でロボット関係の電子工作では、多く使われてます。
この赤外線センサーLEDを光らせる(不可視光)タイミングで受光データ処理するので外光をあまり気にせずに遮蔽物を検出できます。
5x5ミリ角くらいの面積で検出できるので、アウターの歯先も検出できるはずだということでチェーンステイに取り付けてみました。●ロードバイクに取り付けて試運転
ここで、赤外線LEDの光軸の方向を微調整します。
上記写真は、歯間にLEDの頭が見えるので赤外線は、
外に放出されていて、センサーに反射してませんので、緑LEDは点灯してません。下の写真では、歯先にLEDの頭が遮蔽されてますので、赤外線は、歯先から反射されてセンサーに届いて緑LEDが点灯してます。
●データ取り
オシロでチェックしている様子を動画にしました。
オシロのデータを確認しました。
●以後
この方式は、校正、解析用ですので、実際のパワーメーターに搭載する方式はMFT2017以降に検討します。
これを使って、ひずみ波形と同期させてパワー計算の精度と高速化ができるかプログラム作ってみます。
並行して、ひずみゲージもクランクに貼って、校正精度を高めることもやっていきます。