【GNSS】測位基礎学習 <RTKの位置づけ>

GNSS分野で大きく2分されるカテゴリーで単独測位と相対測位があります。
一般的なGPSは単独測位で、DGPS、RTKは相対測位です。
更に、コード測位と搬送波測位があるので、4マスの分類表を作ってみました。

●コード測位:普通のGPSの方式時刻のデータをモールス信号のようにコード化して衛星から送信される電波を地上で受信して、時刻差から距離を得る、4個以上の衛星からの距離から測位する。
●搬送波測位:搬送波の位相を測定して距離を計算するので、分解能がサブミリ単位になる。
しかし、搬送波は外乱に弱い(マルチパス、上空の気象条件、電離層)ので、場所と天気で
測位ができるFIXとFLOATが発生する。自動車などの移動体は搬送波測位は弱い

コード測位 搬送波測位
単独測位の方式 一般のGPS
L1C/Aコード測位
(3-5m精度)
普及してない方式
PPP,PPP-RTK(みちびきCLAS)(10-20cm精度)
相対測位の方式 普及してない方式
DGPS、SBAS
(10cm~1m精度)
高精度測位で最も普及している
RTK
(3cm精度)

※一番普及していると言われているRTKでさえメーカーのublox社がGNSS事業が右肩下がりで投資を縮小している状態ですので
GNSS業界自体が、右肩下がりの業界である中で、群雄割拠のように規格が出てきても、市場の縮小は止まらないと思われます。

参考サイト
https://www-geod.kugi.kyoto-u.ac.jp/docs/DC-151130.pdf

https://interface.cqpub.co.jp/wp-content/uploads/IF1907_165.pdf

これを見れば、右下のRTKの一人勝ちに見えますが、何故その他の
方式が存在しているのかが理由が判りません。
※単独測位は、みちびきが専用の情報を送ってくれないと測位できない方式となるので、一般的なGPS衛星では使えないので、世界で使えないので、グローバルスタンダードになりずらいので、ガラパゴス技術として、ガラ携帯のように、滅びるリスクを背負ってます。そのようなリスクのある方式を何故税金を使って開発しているか分かりません。ただでさえ世界のユーザーが少なくてメーカーが撤退しつつある沈滞状態にある精密測位(RTK)市場で、更にユーザーが限られるみちびき対応をやっていたら、チップを開発してもペイできないので、永遠に単独測位のチップは製品になりにくいと思います。税金を投入しても日本の産業界に貢献できない技術となるリスクが大きい方式で、残念ながら、普及は難しいと思われます。後年、税金の無駄使いだったと指摘されて担当者は悲しいと思います。
①対象ユーザー業界によるニーズの違い
単独測位ニーズ=>近くに基準局が無いユーザーに必要。航空、海運業界などは、単独測位が絶対に必要ですが、cm級までの精度が必要ない。砂漠、ジャングル、山岳地帯など基準局から何百kmも離れている地域での精密測位
相対測位ニーズ=>人口カバー率の高い地域で、携帯電波でカバーされている地域なら、インターネットを利用したネットワーク型RTKでもよりの基準局から相対測位して3cm精度で自己位置が測位できる。

②従来のGPSが単独測位でシンプルなシステム構成だった
単独測位:アンテナと受信チップだけで、測位できるシンプルさが売り
相対測位:基準局データの通信システムと衛星測位システムの2個が必要
しかし、時代とともにデバイスと通信インフラの発展で、相対測位システムが軽く手軽になってくるのは自明
③単独測位にcm級精度が必要なのか?
航空、海運業界、へき地のためにある技術だと理解します。航空海運の要求精度は3cmも必要なく数十cmあれば十分だと思いますので、単独測位でcm級をめざすPPP技術の対象は、へき地の測量くらいで超ニッチ市場に向けて開発されている技術だと思います。多くの研究者がやってますが、ビジネスを考える民間企業ならやらない技術開発といえます。
●コト作り視点でみると市場ターゲットが見えてきてやるべきことがわかりやすいです。
現在、相対測位では精度が高いほど、ニーズが増加、モノの動きを計測するセンサとして、相対測位は、並みいる変位センサの中で独自の強みをもってます。信州MAKERSでは、スキーの運動計測に採用してますが、IMUではとてもできない絶対位置とMovingBase精度で、数十万円のIMUより精度がでてます。歩行計測は、フレイル問題で、注目をあびてますが、IMUでは、精度がわるく、歩行のトレースはとれません、歩行の研究機関では、フォースプレートで歩行をトレースするので、設備面で、負担が大きく、誰もがフレイルの測定ができません、しかし、RTKなら、靴にアンテナをとりつけて視界の良い屋上などを歩くだけで、フレイルの測定が精密にできます。ただし、高レートのRTKチップが必要ですが、現在 ベルギーのSeptentrio100Hzと中国Unicore製が50Hzレートで計測できます。日本では、チップを開発するメーカーも研究機関もありません、何故なら、みちびき対応の単独測位ばかり研究しているから、メーカーがビジネスとしてGNSS分野にメリットを感じないからです。中国が欧米といい勝負をしてきてますので、日本はさらに遅れをとっている現実があります。

④将来的なターゲット人口は相対測位の圧勝のはず
現在は単独測位人口が圧倒的ですが、相対測位が普及すれば
相対測位ユーザーは、世界で何十億人いますが、単独測位ユーザーは、数十万人と圧倒的に対象市場が違います。ビジネスとイノベーション観点からすると相対測位のほうが、世の中に貢献できる技術なので、相対測位をビジネス、研究開発したほうが、成果があがるということになります。

⑤本来めざすべきは、視界が悪い場所でも正確に測位できる技術であるはず。
単独測位でも相対測位でも、現在は、都会の高架橋の下、トンネル、ビル街の中では、測位ができないという大きな課題をかかえてます。それに対する技術はLEO(低軌道衛星 Starlinkが代表例)しかありません。現在のGPSの電波の数十倍強い電波を発信することで、マルチパスが少なく、遮蔽物を通過して精度のよい測位を実現できる技術です。
デメリットは、低い高度なので、1つの衛星あたりのカバー率が低い点です、1衛星で受信カバーできるのは1か所で10分とか短いので、次々に衛星を並べて(衛星コンステレーション)電波を途切れさせない程度の衛星数が
が必要です。StarLinkが5000個打ち上げてますが、未だたりなくて数万個並べないといけなくなります。
投資が大変でも得られる結果が素晴らしいので、米国では大規模投資が入ってますが、日本では、総理府が
実現性を疑っている状況で、投資が入ってません。しかし、GPSの最大の課題に対してみちびきで失敗している総理府が次の解決策をたてて投資を行うのが、日本国政府の責務なので、米国が投資しているならトライをしていくべきことだと思います。みちびきに投資しても、課題が解決されないという状態を認識してほしいです。

国土地理院の解説が判り易いです。

衛星測位システムとは

●原理的には、相対測位のほうが精度良いはず。
距離を精密に測定する技術は、レーザー、電波の位相計測でμmまで計測できる技術が一般化してます。それを2か所からの距離を精密に測定すればピタゴラス原理から、精密位置が得られるのは、大昔から人類の大原則です。それに沿った測位が相対測位です。

●精度が悪いコード測位は外乱に強くて、精度がよい搬送波測位は外乱によわい。
一般的な技術同様にそれぞれメリットデメリットがあるので、デメリットをいかに改善していくかが、技術開発のポイントとなります。
コード測位;衛星からの情報を増やして、コード測位でも精度を上げるSBAS方式
搬送波測位:LEOなどの電波の強い衛星を使って、マルチパスに強い電波を作って
搬送波の安定化をめざす動き LEO PNTは各国で研究開発されてます。

しかし、LEOでも単独測位を重視した研究が多いのが不思議です、市場原理からして
単独測位は市場が小さいので、相対測位で高精度、屋内測位を実現したほうが、世の中のためになるはずなのに、研究者に目的を問いたいです。

LEOにおけるNTNの論文
https://openaccess.uoc.edu/bitstream/10609/151231/1/Feasibility_of_Providing_High-Precision_GNSS_Correction_Data_through_Non-Terrestrial_Networks.pdf

古野電機様のプレゼン資料  単独測位
https://qbic-gnss.org/lunar/wp-content/uploads/2024/07/lunar8_240724_furuno.pdf

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