【RTK22】2kmと51km基準局での基線長ばらつき精度比較<ubx-csv変換TOOL公開>

2022年RTK活動では、この2年間測位精度については、勉強不足のまま放っておいたので改善活動をしてます。

●今までの測位での移動距離計算
F9Pの出力でacc(hacc,vacc,headacc,accN,accE,accD,accL)を精度として見ていました。
スキー滑走の場合は、5cm程度の精度が出れば良いという考え方で、スキー場では、14mm程度の
haccを得てました。NAV-PVTの位置は緯度経度小数点7桁で表現されているのをECEF赤道径40075kmなので1度=111.398kmとして小数点7桁だと0.0000001度=1.11cmとして移動距離換算して使ってきました。
ECEFを使って寸法を計算すること自体mmレベルの精度への考察が無い点が、気になってました。
私の使い方は、スキー滑走の精密な軌跡測定ですので、地球上の位置は必要ないので、GNSSというよりは
RTKの機能のみでいいということですので緯度経度は必要ないですが、PVTの位置情報が緯度経度で表現されているため、しょうがないので、ECEFで角度を寸法に変換してきました。
精密な緯度経度についての学習はこちら高須先生のサイトです。

●今までの移動距離計算を改善する
角度換算で移動距離を計算することを止めて、基準局からの基線長データをそのまま移動距離に使うことで小数点9桁(0.1mm)単位で移動距離を得ることにしました。この精度がRTKの最高精度なので、静止時に数千個データをログして、平均値、標準偏差から基線長のばらつきを求めることにしました。

※本実験の計算は平均と標準偏差だけなので、後日、マイコンに埋め込んで、フィールドで本測定前に精度確認用に使おうと考えてます。測定前に想定されるばらつき精度を知っておけば、失敗を未然に防げるので有用です。
現在採用しようしている管理パラメータは、RTKフラグ、FIX時間、FIX率、基線精度、データ欠落率です。

●2.2Kmと51km離れた基準局との基線長で精度実験比較してみた
松本市自宅ベランダ測定で、2.2km離れているBIZSTATION様の非公開基準局と長野市rtk2go基準局(NC_NAGANO様)で51km離れているのですが、FIX時間は遅い(数分)ですが、14mmFIXするので、便利に使わせていただいてます。2.2km離れている基準局だと30秒以内でFIXします。
①Ucenterで出力設定してログをとる(MovingBaseの場合は、Roverを取り外してbaseのみです)
NAV-PVTとNAV-RELPOSNEDの2個のメッセージだけを出力設定します。
=>View-UBX-Message-NAV-PVTとNAV-RELPOSNEDを右クリックしてenableにすれば出力されます。
あとは、赤丸ボタン押してucenteでログをとります。FIX状態から10分以上ログをとりましょう。
tips:ログ前にview-PacketConsoleで、NAV-PVT 100byte NAV-RELPOSNED72byteが交互に出力されているか
確認してからログしてください。

②ログされたubxファイルをSTAプログラムで、変換してCSVファイルにしてEXCELで読み込む。
SkiTurnAnalyzer用ですが、ubxファイル(NAV-PVTとNAV-RELPOSNED)だけ読み込んで変換してCSVファイルで保存する機能がついてますので、そこだけ便利に使えます。
(WIN10 で走ると思いますが、走らなかったからvisualStudioで.NET環境をインストールしてください)
EXEファイルZIP:STA22_BitmapGraph_Cursor_for_MobileTabline_rev042

※VB.NET使える方は、VBプロジェクトファイルZIPでカスタマイズしてみてください:
STA22_BitmapGraph_Cursor_for_MobileTabline_rev042

 

②ー1変換Toolの使い方(このバージョンではNAV-PVTとNAV-RELPOSNEDの対がそろったデータのみ変換します)
exeファイルを添付します。使い方は、
1)Cドライブに¥RTK_Log というフォルダーを作ってください。そこにUcenterからログしたubxファイルをコピペしておきます。
2)STA22_BitmapGraph_Cursor_for_MobileTabline_rev042.exeを起動します。
下図のように3個のボタンを押せばubxファイルがcsvになります。

左からPVTの項目、PVTが終わるとRELPOSNED項目です。1行に2つのメッセージを並べて
1行が時間単位(1epoch)にしてあるので見やすいです。

・ubxファイルをread4ボタンで読み込みます。b5,62,01,07はPVTのヘッダです。

・右側のBin=>UBX変換ボタンを押します。

・変換出来たらPVTの内容が見えるようになります。
これをdgvSaveボタンを押すとタイムスタンプ名でCSV保存できます。

③CSVファイルをEXCELで開いてRELPOSNEDの精度解析します。
PVTは、:主に緯度経度の小数点7桁(cmまで)の表記なので、位置精度解析には使えませんが、FIX状態とか速度データなど動きに関係する重要なデータが含まれます。
RELPOSNEDは、:RTKの基準局と移動局の3次元の相対位置を9桁(0,.01cm)単位で記録されてます。
今回は、PVTと同時にRELPOSNEDをログしてRELPOSNEDのデータから精度計算します。

③-1高精度値を追加する。
Excelの一番右最後にRELPOSNEDの精度データがかたまってますが、ucenterで見られるデータは、cm単位と
HighPrecision単位を合算した値なので、Excelで、計算してUcenterと同じ高精度データにします。
高精度データは、relPosHPN,relPosHPE,relPosHPD,relPosLengthの4個です。単位は0.1mmですので、
9.9mm~-9.9mmの範囲で、位置精度のcm以下の小数点部分を表してくれます。
参考に本記事で作成したEXCELファイル添付します。
Sample_base精度検証20220422

③ー2下図で説明しているのは、UcenterのRELPOSNEDの表示データとUBXファイルを変換したCSVファイルとの
数値の一致を確認しているやり方です。黒い四角はVB.NETのHPN、HPE,HPD、HPLの変換式です。
parRELP(8) = (bRELP(32 + off) And 127) – (bRELP(32 + off) And 128)
とうビット操作で、符号なしByte型を符号付きbyte型に変換してあります。
教えていただいたサイト様に感謝
https://plaza.rakuten.co.jp/spectra/diary/201512090000/


※今回の実験は基線解析の方法を確立することなので、結果の云々よりも
方法がメインです。種々の条件次第で、基線精度がコロコロ変わるだろうと想像されます。今回は南向きのベランダに置いたアンテナなので、北側家の壁からのマルチパスなど悪影響がある場合での精度測定ですので、値は、ころころ変わりますが、基線長が短いほど良いことは間違いないですが、他の条件でも実験していきます。

●結果1 51km離れた基準局様
ようやく結果です。5200個のrelPosN,relPosE,relPosD,relPosLengthの平均値と標準偏差と
その3倍の3シグマを計算してあります。3シグマ精度表現なら世間一般で通用する公差として扱えます。
accN,accE,accD,accLはUcenterが表示しているばらつきですが、実際の距離生データのばらつき計算値のほうが
はるかに大きいです。
accN=1.08±0.24cm, accE=1.00±0.05cm, accD=2.28±0.82cm,accL=1.06±0.2cm
これだと1cm精度でてると思ってしまいますが、accはその時のRTK計算誤差ですので、
生データの距離のばらつき値は、3シグマばらつきでみると最悪±8cm程度でてます。
relPosN=-4642842.58cm±8.09cm=>南方向へ46.4km
relPosE=-2321078.14cm±1.65cm=>西方向へ23.2km
relPosD=-3668.73cm±1.65cm=>標高366.8m高い
relPosLength=5190703.54cm±6.93cm=>直線距離で51.9km離れてます。

考察:UcenterでF9Pの精度値をみても、その測定のばらつきレベルはわかりません。
全エポックのデータからばらつき計算した値が実力値だと考えてます。
わざと遠い基準局でやってみました


※2022年10月14日追加 長野市で基線長解析してみました。NC_NAGNAOさんから4.8Km離れた
信州MAKERS新サイトから測位しました。30分間測定して、平均±3シグマでばらつき表現してます。
Length:489789.32cm ±2.96cmとなりました。
松本で測定したときが6.93cmだったので、半分くらいになりました。

●結果2 2.2km離れた基準局様

近い基準局様の精度 JP_BIZSTATION様(非公開)をお借りして測定
2.2kmしか離れてないのですが、思いのほか精度でませんでした。
距離以外にもいろいろありそうです。
accN,E,D,L全部1cmですが、
実距離のばらつきは、最悪3シグマで±3.3cmでした。
relPosN:±1.6cm, relPos:±3.3cm  relPosD:±2.67cm   relPosLenght:±2.19cm でした。
やはり、Movingbaseのように数m離れた場所に基準局があれば1cm以内の精度になると
思いますので、携帯基準局が必要だと実感しました。

 

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