2019年は、一体型で実用アプリケーションを意識した6分力センサを目標にしてます。
一般のロードセルの仕様と比較して、自作ロードセルがどの程度の出力性能をもっているのか調べてみました。
※2023年6月追記 「単軸の自作ロードセルは、自作する価値が薄い 多軸なら自作する価値がある」
体重計でも±250g程度の精度がありますので、フルスケール100kgの250gは、0.25%と重量測定の世界は、高い精度が当たり前の世界です。500円のロードセルでも1%程度の精度でてますが、自作だとフルスケールに対して1-2%程度の総合精度です。更に偏荷重の場合は、自作だと10%ー20%のクロストークを被る可能性がありますので、単純な荷重測定のためにロードセルを自作するのは、意味が薄いことです。信州MAKERSでは、多分力センサ自作のために、ロードセル試作の練習をしています、ですので、多分力センサ試作目的の方が対象の記事シリーズとなります。製品のロードセルは、多軸になると選択枝が少ないし、価格が桁違いに上がりますので、自作価値があるということです。
※2020年12月追記
中国製5百円の安物ロードセルでも1%程度は精度がでるので、特殊な目的が無い限り自作する必要はないのではと思います。産業用のロードセルは、十万円とかしますが、それなりの精度0.01%以下で保証されてますので、自作では作れないレベルの製品ですので、十万円でも買ったほうが安いです。
信州MAKERSで自作しているのは、IOT用途の多分力センサを開発する目的があるからで、そのような目的がない場合は、自作するより購入されたほうがトータルコストは安くて、お仕事なら信頼性保証などで間違いないです。
●東京測器研究所のHP
こちらは、ひずみゲージ入門用のEゲージショップを開店されている素人さんにも目を向けて普及につとめられている専門メーカーさんです。
http://www.tml.jp/e-gaugeshop/index.html
ここは、プロ相手のビジネスをしているので、仕様書類がきちんと整備されてます。
ロードセル(ひずみゲージ式荷重変換器)の資料をみると
http://www.tml.jp/product/transducers/catalog_pdf/transducer.pdf
定格出力とは
最大荷重時のブリッジ出力電圧(ブリッジ入力電圧1Vの時)
と定義されてます。
●自作Fzセンサ(Roverbal式)を実測してみました
HX711に接続して、出力INA,INPAにテスタを接続します。
ゼロ荷重でテスター値を読んで、最大荷重、今回は、仮にダンベル2kgで、テスター値を読みました。それで、定格出力を計算しました。
1Vに換算して0.275mv/Vとなりました。製品のロードセルのスペックは
1mv/V以上なので、1/4程度しかありません、しかし、2kgを5kgまで大きくすれば0.688mv/Vと製品の7割程度の定格出力が得られます。
●定格出力(RatedOutput)を得てなにをするか
感度としての定格出力が決まると最大荷重も決まりますので
精度の良しあしの評価がでるようになります。
RO比率が基準で精度が表記されてます。
こちらのPDFにあるような性能表記を測定すれば精度が求めれます。
http://www.tml.jp/product/transducers/catalog_pdf/transducer.pdf
●代表的な製品例では
http://www.tml.jp/product/transducers/catalog_pdf/CLB-NA.pdf
非直線性=0.1%RO
ヒステリシス=0.1%RO
繰り返し性=0.1%RO
零点温度特性=0.01%RO
出力の温度特性=0,01%RO
などです。
●3DP自作ロードセルでは
特に3DPで作った場合。ゼロ点ドリフトが顕著に発生する場合が多いので
繰り返し性が悪くなります。製品の繰り返し性に比べてどのくらい悪いかを比較して
自作ロードセルがOKなのかNGなのかの判断材料となります。
●0.1%RO基準は満たしている(感じ)
非直線性、ヒステリシス、繰り返し性は0.1%ROと表示されてるのが多い。
5kgの最大荷重なので5g程度の繰り返しばらつきが普通ということです。
実際のHX711出力だと5kg荷重で8000digitくらいでますので、
0.1%なら40digit程度繰り返し誤差が発生しても普通ということです。
この程度に収まっていると思います。
●0.01%ROは厳しい
1℃あたりの%ROで表示されてますが、自作だと温度特性評価が大変なので
やらないで、0.01%ROという基準だけ使って比較すると
8000digitの0.01%ですので、0.8digitということになります。
しかし、このFzROVERBAL式ロードセルのゼロ点ドリフトは、8digit程度あるので
零点精度は10倍悪いということになります。
●以後
MASF2019では、試作したロードセルで定格出力を決定して
製品のロードセル精度%と比較して、自作精度の向上につとめたいと思います。
※2020年8月追記
自作ロードセル記事のアクセス数が多くなってきたので、フォローさせていただきます。
●製品のロードセルと自作ロードセルの性能差
クロストークの発生が自作ではどうてしても大きくなります。製品のロードセルは、クロストーク対策を基本的な設計でできてます。体重計用途が多いので、足の乗せる位置で体重がころころ変わったら製品にならないからです。つまり、クロストークとは、鉛直荷重を測定する場合では、錘の荷重位置によってセンシング重量が違ってしまうことです。これは、本来ならば、せん断力だけを抽出するためにRoberbalブリッジを組んであるのですが、曲げモーメントを相殺できない現象です。
●自作の制作誤差
自作だとゲージ貼り精度とか、起歪体のひずみ具合などが原因です。
クロストークは、荷重方法を固定してその場合の校正値をだせば、その荷重方法では重量は得られますので使い方次第では問題になりません。
注意しなければいけないのは、校正時に0.998以上線形性がでているかだけです。
ゼロドリフトが大きいのも注意ですが、金属で作ればそれほど大きなゼロドリフトはでないはずです。
●自作の使い方デメリット
メリットはユーザーが使い方を限定して使うので、荷重方式が一定になる点です、その荷重方式で校正して精度がでていればクロストークがかからないように使っていけば、使えてしまうメリットがあります。
精度の良しあしは、ユーザーが自分の欲しいレベルまで精度があればいいので、製品のようなすべての条件での品質を満足する必要がないのもメリットです。
●私の自作ロードセルの使い方
私の場合は、
①多分力測定が必要な場合(6分力センサなど市販品では高価すぎて、用途的にも合わない場合)
②市販ロードセルでは、測定が無理な場合(ロードバイクのクランク、フレーム、ハンドル、サドル等)