4回目でラストになりました。この3年間意味を知らずにズレ角として計測していたデータに重要な意味があることが分かったので、大きな進歩が得られて、この論文と論文をくださった小賀坂スキーの横田様に感謝です。
●用語の使い方
今までSKID角(ズレ角、横滑り角)と呼んでましたが、論文では、TOP-CENTERのSKID角をAttack角(迎え角)CENTER-TAILのSKID角をLocal Attack角(局所的迎え角)と呼んでいる。
そこで、本開発では、TOPの迎え角、TAILのSKID角と呼ぶことにする。
TAILのAttack角を迎え角と訳すのがピンとこないので、SKID角とした。
実際の角度の計測は、GPSのheadMot(速度ベクトルの方向角)と板のHeading角との差をSKID角としています。論文では、カメラで撮影した画像を解析して、角度を抽出していますが、大変な手間をかけてます。未だ、RTK技術が小型のチップ化されてない時代の論文ですので、当時は
このような計測技術が無かったから大変だったと思います。
●理解したこと
①カービングスキーは、サイドカーブに従ったターン弧をえがく。
大きは、サイドカーブRscと角付け角ΘのcosΘに比例する。(Θ>45度以上で式は実際のデータと合う)
。
②カービングターンの作り方は、スキーの前部で迎え角(AttackAngle)を発生させて、方向付けをしながらスキー後部で、カービングの弧を作っていく。スキー全体のSKID角と前部の迎え角(Attack Angle)と後部のSKID角が異なるということが分かった。
=>今までの私の計測は、スキー前部と後部のアンテナ間の位置ズレを計測していたのですが、これではスキー全体のSKID角しか得られないので、STA25からは、前部と後部独立したSKID角計測を行います。
そのために、MovingBaseを2セットに増やして、ブーツ部のアンテナをBASEアンテナとして、前と後のアンテナをROVERとして前後で2ROVER方式のMovingBasesシステムとします。
③カービングの定量値
SKIDDINGターン:迎え角15度以上の場合はSKIDDINGターン
カービングターン:迎え角8度以下 後部SKID角が2-5度になるとカービングの開始が始まる
=>これは、ここ3年での計測データでも、SKID角が10度以下でないと、カービングになってない判定をしてました。私のターンは、だいたい20度くらいSKID角が常に発生しているターンなので、滅多にカービングデータがとれないので、STA25ではプロ級のスキーヤーにテストライドしていただいてよいデータとります。
——以下 論文記事抜粋—————————
カービングとスキッディング
10m コースでは主にターンの最初の部分で若干の横滑りが見られたが、10m コースの平均最
大迎え角は 15 度、13m コースの平均最大迎え角は 12 度でした。しかし、この調査を典型
的な競技コンディションで観察されるものと比較した場合には、10mコースと13mコースの
平均最大迎え角がそれぞれ15度と12度であったということを中程度と表現した方が良いかも
しれません。実験のセットがスキッディングを使用してスピードを調節することができる中
斜面で行われたことを考えると、この調査でスキーヤーが多少のスキッドを使用していたこ
とは驚きに値しないでしょう。
LieuとMote の予測(Lieu, 1982; Lieu and Mote, 1985)(図 5)との比較では、スキーの
局所的な迎え角のパターンに多少のばらつきが見られましたが、これは選手が使用するスキ
ー用具の機械的・幾何学的特性のばらつきやスキーの動きの不規則さに起因するものと考え
られます。しかし、一般的には、スキー全体の迎え角が約15度以上になると、スキー全体に
沿った局所的な迎え角が高くなり、スキーの横滑りが支配的になっていることがわかりまし
た。この水準以下では、最後尾の局所的迎え角が減少し、スキー板前半部の局所的迎え角は
上昇したままでした。また、スキー全体の迎え角が8度に近づくにつれて、最後尾の局所的迎
え角が2~5度に達し、これらの測定点がカービングを開始したことを示しており、LieuとMote
の結果とよく一致しています。スキー全体の迎え角がさらに減少したのは、スキー板前半部
分の迎え角の減少に伴い、テール部分のカービング比が増加したことに関連しています。ス
キー全体の迎え角が約3度になった時点でスキーはカービングが発展した段階に達したが、局
所的なスキー板前半部の迎え角はわずかに上昇したままであり、この部分はまだ新雪を切削
加工していることを示しています。これは、Lieu と Mote の研究、および 辰野 (2009)、
Federolf (2005)、Federolf ら (2010b) のスキーショベルの機能に関する記述ともほぼ一致
しています。
スキーの軌道
外スキーはターン周期の大部分で高強度のターンを経験しており、ターンとターン間の切り
替えの前に始まっている場合もあった。スキーがカービングしていてエッジ角が比較的大き
い(θ>45度、図6参照)ターン周期の部分について。Howeの式(式1)は、式の単純さ
と、変わりやすいスキーと雪の相互作用が影響を与える複雑な変数を考慮すると、実際のス
キーターン半径を予測する上で驚くほどよく機能しました。このHoweのモデルと実測データの間に比較的強い関連性があることは、スキーの幾何学的特性、特にサイドカット半径が、
エッジ角の大きいカービングターン中の雪上でのスキーの挙動を決定する上でどれほど重要
であるかを示しているように思われます。しかし、小さいエッジ角では、Howeの式は実際の
ターン半径を大きく過小評価していました。このことは、以前の研究(Federolf, 2005;
Federolf et al, 2010a,b)で、Howeの方程式は小さいエッジ角ではより良い結果が得られ、
約45度以上のエッジ角では実際のターン半径を系統的に過小評価していたとの内容と対照的
です。今回の調査では、RHOWEがRSKIを過小評価しているように見えたのは、エッジ角が70度
以上になってからでした(13mコース)。この結果の対比の1つの可能性は、現在の調査が比
較的硬い雪の表面で行われたことであり、その影響で浸透の深さが制限されているため、ス
キーの変形は、雪に生成される溝の形状とスキーの軌道とより密接に一致しています。
それにもかかわらず、Howeの式1がスキーの軌道を捉えられない状況が2つありました。
システムの構成を決めて製作にはいります。