【RTK】Ublox異変=>F9P終わって、NEO-F9Pに移行L1-L5のみ<事業存続の危機か>

2018年発表で、2019年冬にF9PをArdusimple社から輸入して、以降6個ほど購入して使いこんできましたが。
新モデルのNEO-F9PというモデルがでたのですがL1+L5対応でL2は非対応となったので、今までの2周波数アンテナ使えなくなります。更に、NEO-F9PはMovingBaseに対応してないので、RTKの良さを失ってます。
アンテナが使えなくなるとなると、屋根に登って交換作業がはいるので、大変な手間がかかります。そういうハンディを背負っているので
従来のユーザーでなく新規ユーザーをターゲットにしていると思います。
トリプルバンド(L1,L2,L5)にすればよいのですがコストアップします。かといって、
NEO-F9Pを安く売る気は無いようなので、売る気がないのではとかんぐってしまうほどの、市場対応となってます。
●NEO-F9Pチップの価格
DIGIKEYのUS価格では、NEO-F9P15Bチップが1個129ドル、(2024年9月7日調べ)
https://www.digikey.com/en/products/detail/u-blox/NEO-F9P-15B/20838230?s=N4IgTCBcDaIHIFEDyBaAYgTgAogLoF8g
従来のZED-F9P 04Bチップも129ドルなので、チップサイズを小さくして、自社の利益率を上げただけと見えます。
=>心配なので、Ardusimple社に問い合わせたら、ZED-F9Pはあと5年以上供給するとの回答を得たので一安心しました。

これからRTKを研究開発テーマとして考える場合は、コト作りを明確に決めておかないと参入リスクがあります。
=>RTK業界が縮小しているということは、従事する会社も人も減るので、自分で全て開発する事態を想定しないといけません。
チップメーカーのサポート体制がいつまで続くのかということが課題となります。
最悪、自前でRTKプログラムを作って、研究開発するくらいの覚悟がいります。
そこまでしてRTKに経営資源を投資してもよい、コト作りをつくって、目標を明確にしておく必要があります。
私の場合は、スキーの運動計測なので、絶対位置はRTKでなければいけませんが、他はIMUを使います。
レーザー計測器が発展しているので、レーザーでできるコト作りならレーザーを使ったほうが、技術が発展しているのでリスク少ないです。RTKでなければならない、コト作りをしっかりと見定めないと、参入は危険です。
●RTKで参入して勝てる分野は、人間の動き
私は、スキー以外に、歩行計測をフレイル対策として開発したいと思ってます。歩行の正確な計測は、従来は、巨大なフォースプレート上を被験者が歩いて計測してましたのでフレイルの研究には使えますが、診断のための計測システムとしては設備がおおがかりすぎて使えません。そこで、RTKシステムなら足に2個アンテナをつけて、病院の屋上のコースで歩かせれば、正確な歩行軌跡がでるので、それを処理してリアルタイムで、被験者のフレイル状態が診断できます。多分、フレイルの業界では、そういう計測システムにニーズがあると思います。IMUではとても、RTKの位置精度がでないし、レーザー、動画解析だと
設備が大がかりになって、コストが高くなります。コストと設備の軽便さでRTKシステムが圧勝となる分野があります。

●このブログ記事を読む読者層の業界が伸びてない
RTKは、昔から測量業界メインで使われてきました。本ブログでも測量関係と思われる読者が多いです。
 人口減少で、公共工事がへっているので、業界が伸びない、将来のイノベーションも顕在化してない状況ですので、若い人が入ってこない業界です。
そのような業界に使われるRTK技術も伸びることがありません。ですので、伸びる業界を探してRTKを普及させないとRTKの低落は続きます。
その他土地の計測(国土保全、地学、林業、土木)もありますが、人口減少の影響を受けて、予算が増える分野ではありません。
非常に少ないですが、バイクレースでRTKを使われているユーザーがさんが2人ほどいらっしゃいます。モノの動きを計測する分野は伸びてますので
その分野にRTKをもっていけば、伸びる業界で使われるので、RTK技術は発展できます。ですので、読者の皆さんもモノの動きの計測をターゲット
にRTKを開発していっていただきたいと期待してます。

●業界動向
ZED-F9Pが切り開いた、低価格民生向けRTKチップ市場は、未だアーリーアダプターしか普及してない状態で飽和状態になってます。
製品のマーケティング分野では失敗作という扱いとなります。イノベーションは一発で成功することはないので、複数プレーヤーが参加して
開発競争を演じて、何故、アーリーアダプタで止まってしまったのかを分析して、改良していくのが常ですが、ublox社は、参加できてません。

やるべきことは、RTKが独壇場となる大きな市場を創出すること、出力レートアップ、コストダウンです。

ベルギーのSeptentrioは、トリプルバンドで、L1,L2,L5対応、100Hz,20Hzと速度、価格はF9Pの倍で、アーリーの壁は通過できそうもありません。
中国のUnicorは、トリプルバンドで、L1,L2,L5対応、50Hz,20Hzと速度アップ、価格はF9Pより30%高い程度なので、壁を通過できるかもしれませんが、中国製ということで、品質と信頼性、地政学的なリスクを市場がどうとらえるかの課題があります。

 

●thingstreamというIoT service delivery platform が登場してます、
thingstreamでは、メインの事業のセルラーとGNSSの両方でユーザーかかえこみをしようとしてます。
point-perfectというCLOUDサービスを提供してますが、30日間試用できますが、誰が使うのか見えません。
ダイレクトショップもあって、Ardusimple製品、SparkFun製品など、売ってますので、代理店の仕事を奪ったようなことしてます。明らかに、UBLOX社のGNSSチップ事業が曲がり角に立っていることは間違いないです。
thingstreamは、ユーザーを知らな過ぎたという反省のもとに作ったのではないかという感じがします。
OEM専用のメーカーが陥るジレンマで、ユーザーを知ろうとすると客の代理店に怒られる。
しかし、ユーザーを知らないと良い開発ができないという点で、そこをWEBを通してユーザーの生の声を聴く場を設けるのは、
20年前くらいから、とられた手法ですが、2024年になってUBLOXが始めたというから、相当時代遅れの会社です。

●背景
ublox社のGPS事業は右肩下がりが続いています。落ち目の事業部は、開発投資できないので新製品がぱっとしたのがでないです。
NEO-F9Pがまさにその通りの製品で、基本性能を改悪してコストダウンしたモデルとなってます。
2018年に発表した第9世代の失敗が明白になって、撤退するか、どうするかの瀬戸際に立っているのだと思います。多分F9Pチップも在庫が掃けたところで、製造中止になるのではないでしょうか?NEO-F9Pは、L1,L5バンド専用です。
L5のほうがマルチパスが明らかに少ないのは、海洋大の13年前の資料にでてます。
https://www.denshi.e.kaiyodai.ac.jp/wp-content/uploads/pdf/content1/2011kobayashi.pdf

しかし、RTKが車載で使えるほど信頼性が向上することは、現在の技術では不可能なので、NEO-F9Pは、ZED-F9Pと大差なく、L5専用になったことで単なる改悪したチップとしか言えませんので、ubloxのシェアが落ちて、他社のシェアが伸びることは、市場原理です。

●大きな技術課題
RTKの原理は、搬送波の波形をサンプリングして、位相差を計算して高精度の位置を算出するアルゴリズムですので、一般のGPSのようなコード測位ではないので、電波のちょっとした外乱(マルチパス、視界不良)ですぐフロートになってしまう点です。安定して使える場所は、農地とか屋上とか、視界が抜群に良い場所に限られる点です。ですので、スマホとか車載には向きません。そういう原理があるので、最初から、RTKが独壇場になるキラーアプリを想定しないと売れる技術にはなりません。

●ubloxは、何が間違ったのか?
最大の原因:RTKの民生向け低価格化というイノベーションを狙ったのが、モノ作り指向だったのが原因
=>RTKというモノ(技術)に特化してしまったので、モノを使ってユーザーがどんな コトができるのかから出発してない。
=>この開発方式は、日本産業が30年間陥っていた悪しき方式ですが、スイスメーカーも陥ってしまったということです。
①RTKとは名ばかり
RealTimeKinetics というコンセプトの技術ですので、物の動きをリアルタイムにとらえる技術ですが、肝心の対象物が数種類しかなかった。
測量、建築管理用途、農業トラクタの自動運転、ドローン、建設用ブルドーザー程度で、ボリュームがある自動車市場がとれてません。
=>コト作り的に言うと、自動車の自動運転に使うために±3cmの精度が必要かということです。そもそもcm級RTK技術が自動運転を狙っているならもっと違う仕様になっていたはずです、一体なんのためにRTKがあるのかという点で、RTK関連業界に問いたいですが、各メーカーと研究機関の実験は、車載がほとんどで、RTK精度を車載で評価しているのがコト作り的矛盾です。
=>RTKのすじなら、人、動物、機械の動きをcm級で測定する用途ならぴったり合うと思います。
=>しかし、カメラとAIの組み合わせがRTKのっ強敵で大概の位置関係はカメラとAIで判断できてしまいます。

 ②RTKらしいアプリケーション開発は極少ない
信州MAKERSは、コト作りからモノ作りするポリシーですので、スキーの挙動を計測して、スキーヤーに教えたいというコト作りから
出発してますので、RTKでなくてもよいです。たまたまRTKがスキーに合った用途であったということですが、現在では、RTKで不足し
ている点をIMUや力センサ類で補おうとしてます。
ドローンの場合は、カメラがあるので、cm級GPSがなくても精密な位置制御はできるのドローン用RTKに特化した開発は危ないです。
農業用トラクタも同じで、ドローンでカメラ画像をトラクタに届けて、画像処理しながらリアルタイムに操縦する技術開発でも可能です、
つまり、RTKのアプリケーションで本当にRTKでなければ絶対できない物の動きの計測アプリはあまり無いのです
 ③本来ubloxがやるべきこと
   キラーアプリを用意して、その分野を完全に占領できること。これができて初めて世の中に存在できる技術になります。
手前味噌ですが、スキー用途なら、IMUはサブセンサなのでメインは、RTK技術で占領できますので、ここに特化すべきだと思います。
測量は昔からRTKに似た技術を使ってますが、リアルタイムの動きがないので、RTKは必要ありません。
新規の開発は失敗がつきものなので、失敗をとがめません。失敗を礎にして数年後にどんな開発成果をみせられるかが本当の実力です。

   2030年までに、何かでなければ、ubloxは撤退だと思います。

●コト作りの単純例
学校では教えてないので、ここで簡単な例を解説すると人間の食事分野でいうと
「人間が食べるための道具」コト作りを考えると モノ作りは、いろいろ考えられます。
宇宙食ならレトルトパックとフォークでの食事、病人なら点滴、流動チューブでの栄養補給
手でつかんで食う、フォーク、スプーン、ナイフで食う、箸でくう
とかいろいろな食べ方(モノ)があります。
例えば、画期的な食べ方を箸の使い方で実現しようというアイデアが生まれたとき、箸だけ考えて製品を作った場合
世界で箸を使って食事をする人のいる市場の一部にしか浸透しません。
それではなく、食べ方にイノベーションを求めて、どんなモノがよいのかを探したほうが、全人類を対象となるアイデアが生まれます。
=>ロボットが口までもってきてくれる、食事の順番を健康に一番良い方法でたべさせてくれるとか
幅広いアイデアがでてきます。こういうアプローチで、何をするコトが大事なのかを選んでから、研究開発事業化を考えないと失敗する確率が大きいです。

●信州MAKERSの対応
2018年発表で、2019年冬にF9PをArdusimple社から輸入して、以降6個ほど購入して使いこんできましたが。
新モデルのNEO-F9PというモデルがでたのですがL1+L5対応でL2は非対応となったので、今までの2周波数アンテナ使えなくなります。
アンテナが使えなくなるとなると、屋根に登って交換作業がはいるので、大変な手間がかかります。そういうハンディを背負っているので
従来のユーザーでなく新規ユーザーをターゲットにしていると思います。
トリプルバンド(L1,L2,L5)にすればよいのですがコストアップします。かといって、
NEO-F9Pを安く売る気は無いようなので、売る気がないのではとかんぐってしまうほどの、市場対応となってます。
信州MAKERSでは、現在のスキー用のシステムSTA25のメインがベンドセンサとIMUの改良版なので、RTKはZED-F9Pで
いきます。IMUの性能次第では、あまり高性能のRTKが必要ないかもしれませんので、SeptentiroとかUnicorにすぐは走りません。

●NEO-F9Pの仕様

NEO-F9Pのデータシート https://content.u-blox.com/sites/default/files/documents/NEO-F9P-15B_DataSheet_UBX-22021920.pdf

F9Pで普及しているF9P04Bのデータシートと比較してみてください。
https://content.u-blox.com/sites/default/files/ZED-F9P-04B_DataSheet_UBX-21044850.pdf」」

 

 

 

 

 

 

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