【RTK22】RTKとIMUを使った位置推定分野で良い論文あった<大阪大学Dr論文>

STA22では、スキー滑走中のRTK以外の各種センサーを検討してます。特にIMUを使ったセンサーフュージョン技術が利用できるものなのか、RTKとIMUの比較した論文を調査しました。

●理論と具体的な実験結果がそろった論文がありました。

「外れ値判定から切り拓くレジリエントローカライゼーションに関する研究」
板東, 幹雄  大阪大学 機械工学 博士論文 2019年1月

名称から中身が想像できないのですが、自動運転における位置推定誤差について、RTKによる位置推定とIMUによるセンサーフュージョンの比較の研究論文です。2019年1月ですのでF9Pが発表になって間もないころですが、まだ、本研究にはF9Pは使われてません。

 

●ポイント1:RTKの課題を2点挙げてます。

①「出力周期の安定性」8ページ目抜粋
観測される衛星は少なくとも4つ必要となる.この数が満たされない場合,測位できなくなり,位置を出力することが不可能となる.また,GNSS 受信機は一つのチップで,衛星からの電波の追尾,デコード,測位計算と全てをこなすため,高周期での安定した測位を実施することが難しい.

 

②「誤差の均質性」8ページ目抜粋
GNSS 受信機の出力する誤差は,測位演算途中で算出される誤差分散値が,測位位置の確からしさ
を示す指標となっている.この誤差分散値を用いてセンサフュージョンを実施するが,マルチパスや回折な
どのような衛星からの電波の影響に起因する誤差については,実際の位置(真値)とのずれを誤差の広がり
を表すはずの分散値が十分にその事実を表すことができなくなる.
この誤差分散値が信頼できないような場合を外れ値(アウトライヤー)と呼び,外れ値の排除が最小二乗
法や最尤推定を用いるセンサフュージョンには必須となる重要な機能であるといえる.
そこで,GNSS を用いた位置推定においては,その位置の出力の安定性と均質性を維持するというを命題を同時に解決した高信頼な位置推定技術の確立が課題であるといえる.

 

●解決策としてデッドレコニング
デッドレコニングは車両などの移動体では絶対座標に対する車両の姿勢を計測し,これを用いて車両の速度ベクトルを絶対座標で表すことで元となる位置からの変位量を計算し,現在の位置を推測することができる.
=>車両は物理運動則で動いているので、力学的に次の動きが推定できる点を利用すると理解しました。

●豊富な実験
著者は学生さんではなく日立製作所の研究員で大阪大学で博士論文をとるための研究生をしていたみたいです。
大企業なので資金も豊富で、計測装置と計測用自動車も用意した大規模な実験してます。
RTKとDeadReckoningの走行実験をやられてます。
どちらかというと、RTKの高精度を基準にしてIMUでの計算処理を近づけるという手法になってます。
現在の自動運転の位置推定はほぼ、従来のIMUセンサフュージョンプラスLIDRと地図情報で確立されているので、RTKの弱点を補う目的の研究になっているように理解しました。

●活用
現在スキーターンアナライザーで課題となっているサンプリング周期の遅さをどこまでIMUで補えるかと
精度で外れ値の対策ができるのかについて、この論文を学習しながら方向付けしようと思います。

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