【6分力計】年末整理コト作り不足<私のコト作り秘話>

丁度1年前に6分力計を調査して、自作できるか検討を開始して、最も簡単な方式(中華ロードセルを積み上げる)で試作しました。MFT2017に出展して、学生さん達に多くの関心をもっていただけました。しかし、何に使うのというコト作りが出来てないまま1年過ぎてしまった今、開発の方向性を見失ってきております。
何故なら、市販の6分力計は10万~数百万円しますが、安く自作したとしても使う目的が無いなら、価格差がいくらあっても意味が無いものになります。やはり、何かするコトを定義してからモノを開発しないと行き詰ってしまうということの典型だと思います。2005年から日本の産業界のモノ作りが世界からおいて行かれた現象も日本の産業界がコト作りができない点が原因だという意見が広く指摘されてます。経団連の資料

クリックして010_report3.pdfにアクセス

総務省の解説

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h25/html/nc111310.html

●私の経験から<リタイヤした技術者の自慢話しですがお役にたてばと思い、本邦初公開の秘話です>
私は、技術開発者として一生で3回ほど世界中に貢献できる商品の技術開発を経験してきてます。3回目はこれから10年後ですが。

①湾曲面を持ったペダル
【39年前に開発したもののアイデアが今も使われてます)

これは、大学卒業して2年目で作ったものです。シマノの開発課に勤務していた頃の作品です。当時、自転車青年だった私は、自分で使って納得できるペダルを開発することを目指して、自分の試作ペダルをさんざん乗り込んで形状と仕様を開発しました。
シマノDXペダルと呼ばれる、当時としては画期的でした。
現在も、そこいらじゅうのメーカーが形状を真似しているとおもいますが、それは私とデザイナーの清水氏の作品が世界で初めてのペダルでした。当時、北米で流行していたBMX用に開発したのですが、試作品をプロライダーに使ってもらったら、超人気がでて製品化GOとなった経緯があります。自分が踏んでみてこれがベストだと思った試作品がプロライダーも良かったと言ってくれたのが当時24歳の青二才技術者でしたが、今でも覚えてます。
当時は、BMXフィーバーとともに、このペダルがデファクトスタンダードとなって、世界中で誰もが踏んでフィット感と乗せやすさを体感していただけた製品でした。
40年近く過ぎた現在でもファンがいてくれているし、自転車をみれば、必ずこの形状のレプリカペダルがあるのがうれしいです。シマノよりレプリカメーカーが儲かった製品でした。
http://mtb36.blogspot.jp/2015/06/dx.html

http://d.hatena.ne.jp/saito-kazuo/20110816/p1

②インクジェットプリンタの縁なし写真印刷技術
これも、私がアイデアをだして、特許をとった技術です。
1980年台では、インクジェット技術が写真になるとエプソン内でも誰も信じてませんでした。私は、写真にこだわらず、非接触の印刷技術だったら紙の縁無しで全面塗りつぶしが簡単にできるのだからインクジェットはフチ無し印刷が必須だという信念をもって特許をだしました。この技術は、世界のプリンタを変えたと評価されて、発明協会から表彰を2回されました。
https://web.archive.org/web/20131012024438/http://www.epson.jp/osirase/2011/110620.htm

③3度めの開発品は、エプソンに残してきてます。
エプソンがつぶれないで元気ならいずれは世の中にでてくるでしょう。でなければ、他社が十年後にやってくるかもしれません。誰もやらないなら、信州MAKERSで10年後やるかもしれません。

●コト作りの目指し方(自分でコトを感じられることが大事)
①モノ作りの方法ではなく、「何かが出来るコト」を考える。
②身近で自分が感じ取れるコトから考える。
③自分が感じ取れないなら、感じ取れる人とのコミュニケーションを密にして、その人だったらこう考えるだろうと想像できるまでになってからコト作りを考える

●コト作りの恩恵1 「自営に有効な考え方」
このような、考え方を身に着けることで、将来会社を辞めて自営となった場合でもすんなりとビジネスができるようになることも、重要なメリットです。特に、若い世代は、老後の年金があてにできない点があって50代後半から70代まで自分で働かないと生きていけない時代を迎えます。その場合、コト作り思想に慣れていると、自然とビジネスネタが浮かんできますので、自営するには非常に良い考え方ですので、お勧めします。

●コト作りの恩恵2 「企業内の新開発テーマを成功に導ける」
企業内でも新しい開発の場合はこの考え方が重要で多くの企業で新しい開発が失敗が多いのは、この考え方が定着していないからではないかと推測してます。新規分野の開発で失敗ばかりしているので、欧米に遅れて国力を落としてきている要因の一つだと考えてます。要するにモノ作りにこだわってばかりいるからです。情報家電、液晶、半導体業界がよい例です。欧米では、液晶、半導体のコト作りに専念している会社(Arm,Apple等)が世界のTOPの座をしめて日本の液晶、半導体製造企業は、経営危機に追い詰められている現実をみれば、いかにコト作りガ重要かがわかると思います。私の趣味関係でも、GOPRO,Garminなどもよい例です。
日本企業がGOPRO,Garminの真似をして品質はよい製品をだしてますが、ちっとも追いつけないのは、コト作りで圧倒的な差があるからに他なりません。日本メーカーの開発技術者がGOPRO,Garminの技術者とコト作りの考え方で負けているのが原因です。しかし、日本でもシマノは、昔からコト作り発想で開発をしていう珍しい会社で、おかげ様で世界に覇を唱えて50年トップの座を維持していられるのもコト作り思想がシマノのDNAであったからだと私もシマノで学んだ実体験で断言できます。

●以後
信州MAKERSの読者の多くは、学生と企業エンジニア様です、皆さん20-30代の若い世代です。そういう人達がコト作りを意識した新しい開発をして滅びゆく日本の産業界で活躍してくれることで、新たな日本産業を担っていっていただきたいと願って昔話しをした次第です。

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