【L-RTK】UBLOX ZED-F9P(SimpleRTK2)を購入2カ月経た感想<私の使い方備忘録>

当初、電子工作趣味で、デバイス2個で5.5万円は高い感じでしたが、これで、6か月くらい今までにない技術で、遊べますので、お得だったと思います。訂正:3~5年は遊べますので安い買い物です。

●購入から4年1か月経た感想=>RTK単独では精度、信頼性が不足するので、IMUも同時計測必須
スキー計測システム開発4年目を迎えて、今シーズンは、RTKシステムの防水ケースを3Dプリンタで製作する
開発を行ってます。IMU BNO085と同時計測することで、100Hzの姿勢角がえられるので、遅いRTK計測を補間して、実用精度を維持しようとしております。RTKは、地形、天候でコロコロ精度が変化するので、IMUと比較しながら、精度を管理しないとダメなのは、自動車計測分野で実証されてます。
自動車計測システムでの高級IMUとGPSデータの比較データがVboxというメーカーからでてますが、IMUのほうが安定しているのが判ります。しかし、高精度のIMUは100万円もするので、趣味では厳しいです。
https://www.vboxjapan.co.jp/VBOX/Products/VBOXdatalogger/IMU_Integration_Flyer.pdf?utm_source=pocket_saves

●購入から3年4か月経た感想=>ソフトウェア開発がメインの電子工作になりました。
※1年後2020年12月にもう1セット揃えてF9P 4個体制となりました
※2年後の2022年1月で2個増えて6個体制になりました。
※2年半後の2022年5月で、精度を0.1mmオーダーまで高精度化しました。更に、システムにIMU2個と高速GPS M9N1個を追加して、RTK周期の遅さを補間するシステムの開発を始めました。
※3年後の2023年2月で、MovingBaseに代わるIMUセンサFUSIONチップBN0055の精度比較を始めました。MovingBaseは、かさばるので、実用性を考えるとFUSIONセンサが便利だと考えるようになりました。
ArduSimple社も業容拡大して、超小型のF9Pモジュールを開発してきました。日本よりも、欧米の普及が大きいようですが、価格がちっとも下がらないので、大した数量は出てないと思います。世界的に、測量と農業用途が多いみたいです。私のようにスキー計測に使っている事例は、未だ、見つかってません。

「このように、私の使い方は、物の運動の解析センサとして使ってます。IMU等他のセンシング技術では得られない精度を獲得できるシステムを作って、スキー、歩行、その他移動体の計測をしてます。」
=>緯度経度、地図のデータは一切使ってません。RTK計算から得られる0.1mm単位のNED座標と距離データのみで計測してます。

RTK技術へ感謝をこめて、アイキャッチは、GNSS株式会社様の説明図を引用させていただきました。

※2年経過しての使い方備忘録(2022年2月4日追記)
TIPS1:F9Pの設定で書き込んだつもりでもメモリーに残ってない場合が多いので、設定したら一旦電源オフしてから立ち上げて、設定が完了しているか確認する習慣をつけたほうがいいです。
【L-RTK】F9Pをu-centerで設定<send動作ではまる>
TIPS2:いろいろいじっていると、ファームが壊れて動作不能になることがあるので、文鎮化してしまいます。その時のリカバー方法を知って
いると安心して、いじれます。
【RTK22】F9Pファーム書換え失敗、文鎮状態からの回復方法<ArduSimpleのHackページ>
TIPS3:SimpleRTK2B liteは、使わないほうが良い。設定書き込みが失敗しやすいので、SimpleRTK2Bで慣れてから使うほうがよいです。
壊してしまったSimpleRTK2Bliteを復活させた記事
【RTK22】壊れたSimpleRTK2Bliteを復活させた<やり方備忘録>
TIPS4:基準局は、善意の基準局で十分です。距離が50km以内なら1-2cm、100kmでも使えます。http://rtk.silentsystem.jp/

 

●最初のインプレ(2019年12月3日到着
登山をしているのでGPSは、20年以上前から使ってきて命拾いを何度もしてきたので、身近なものだったのですが、精々5m程度の精度しかでないので、そんなものだと思っていました。2018年末にみちびきが打ち上げられて、cm級が身近になったかと思ったのですが、未だ高価なシステムになるということで、待っていたのですが、早々と民生価格帯に落ちてきたので、1年後に入手できたのはラッキーでした。

F9Pを動作させた瞬間カルチャーショックでした。NTRIPサーバーに接続してない状態でも1-2m精度で測位できました。そして、NTRIPサーバーと接続した瞬間から、2DAccが急激に下がって1-2分で1-5cm以内でFIXしました。アンテナを数cm動かすとPCのプロットも動くのが雑誌、YOUTUBEで見たのと同じ現実を体験できました。

●F9Pを2個使ったMovingBaseモードが通常のRTK以上の高精度が出る点が素晴らしくIMUでは測定できない分野での応用が拡がると感じてます。MovingBaseモードの詳細記事は下記です。

【L-RTK】MovingBase方式の学習始めた<相対位置がmmオーダーで得られる>

スキーターンアナライザ(STA)開発は、IMUでは難しかったのですがRTK MOVINGBASEの強みがでている一例です。

この時は、未だF9Pを調達したばかりで、UCENTERの使い方もままならない状態でしたが、感激したことがその後の習得の原動力になりました。その後はほぼ毎日ブログ記事を書いて、自分の進捗の備忘録を残してきてます。老人で記憶力がおちているのでブログで備忘録しておかないと、開発活動ができないからです。

●ArduSimple社のサポートが非常に良い
 F9Pは、多機能のICチップなので、設定が複雑でとても、ゼロから自分で納得しながら設定は無理でした。そんな中で、ArduSimpleのFORUMが盛んで、投稿してから24時間以内にArduSimple社のサポートが回答して、解決するまで相談にのってくれます。
記事の参照数が数千ビューあるのが普通ですので、世界中でF9Pの
RTKを使っている人達がたくさん居ることがわかります。日本では未だ、少ない感触ですので、GNSS-RTK分野でも、日本は遅れをとるのではと危惧してます。私のQ&Aでさえ数百人のビューがあります。

※2021年5月追記 スキーターンアナライザ(STA)の開発成功
RTK遊び始めてから1年半経過しました。F9Pは4セット体制となってます。スキーターンの計測システム開発が進んでいます。世界初らしくArduSimple社のブログ記事へ採用されました。
スキー板の横滑りと進行方向が見えるので、自分のターンのどこでずれてるのかよく見えます。1本の滑りでの自分のターン表現も数値化できます。
特にターン中の角度(進行方向、板方向)と瞬間スピードのグラフの形状をみれば上手下手、意識してない癖など客観的に見えます。
私の場合は、自分があまりにも下手くそなのでデータをみるのも嫌になるほど、露骨に上手下手が見えます。
これからのスキー練習の励みになります。スキー学校、競技への応用も考えられますので、システムを実用的に使えるレベルまで開発していこうと思います。

【RTK21】ArduSimple社ブログに開発中のSTA記事掲載された<コト作りの成功>

本ブログでのスキーターンアナライザ(STA)の紹介英語版で書いてあるので、欧米からのアクセスが多いです。
今シーズンの初トライとして、RTK MovingBase左右スキー滑走データ2CHのグラフィックと実際の動画MP4の同期システムを作った点です。
RTKは、モーション解析の一種なので、映像も同期させたほうが判りやすく、RTKデータの検証にも効果があります。

【STA】RTK Ski Turn Analyzer[STA] Introduction <for DIY>

 

●楽しみ方
 世界的な用途では、測量(土木、建築)、ドローン、農業トラクタ自動運転が多いみたいです。私の場合、信州MAKERSのアイテムが
「移動するスポーツのIOT」
が多いのでスキー、ロードバイク、ウォーキングのデバイスとして使う目的です。
信州MAKERSを立ち上げて4年間スキー活動計を開発してきましたが、IMUの精度が全然でないので、スキーターンの軌跡、動作が全然センシングできなくて壁にぶち当たっていたのですが、RTK MovingBase技術で、4年間の苦労が何だったんだということになりました。低価格IMUはろくでもないという体験だけ残ってます。

きっかけは、トラ技2019年2月号、10月号の記事をみて、トラ技編集部へ質問して、スキーターンも測定できる可能性があるとのことで、Ardusimple社のSimpleRTK2もご紹介していただいて購入した次第です。トラ技のRTK担当者様には非常にお世話になり感謝しております。
下記動画でスキーターン測定できて、F9Pに感謝してます。

【L-RTK】MovingBaseでスキー滑走測定した<MBは凄い技術だ>

 

●私のF9Pの使い方
①地図データは使いませんのでGoogleMapには縁がない使い方をしてます。
➁基準局は自分では設けない。
=>当初、基準局を作るつもりで2個買ったのですが、NTRIPをやってみると、
東京文京区のCQ出版様のNTRIPサーバーから169km離れていても
2DAcc2cms精度がでてしまうので、10km以内とか言われているcm精度は現実と違うのではないかと思ってます。F9Pの性能が10km以内と言われていた時代の受信デバイスと違っているのが原因だと思ってます。革新的なデバイスが出現すると関連分野への影響は結構大きいと思います。我々ユーザー層は大歓迎ですが、開発競争をしている業界大変だと思います。しかし、技術開発の世界で日常的に発生している現象ですので、GNSS業界も、新たな時代が今きつつあるということだけだと思います。

=>現在は、松本市中心部にあるIT会社 BIZSTATION様(DGPROを開発製造販売している企業)RTK2GO局 JP_BIZSTATIONを使わせていただいて、長野県内1-4cmでカバーできてます。

※重要 2022年12月2日追記
rtk2goの接続方法変わりました。IDとパスを入れないと使えなくなりました。

【RTK22】RTK2GO.COMのNTRIP接続方法が変わった<NC_NAGANO様に感謝>


※2021年5月追記 ALESNTRIPサービス契約したので範囲を測定実験してみました。

【RTK21】ALES基準局からの距離と精度実験<50km内なら1cmなのでAles解約>

 

 

③MovingBaseモードを主に使います
スキーでも歩行でも、2か所の測位が必要です。2個独立してRTK測位してみたのですが、時間同期にばらつきが±200msecはどうしても出てしまうので、2個の時間的位置関係の精度がでない課題がみつかり、MovingBaseモードで解決したのが現在の状況です。
当初は2CHのRTK
でスキーターンを測定していたのですが、固定してある2個のアンテナ間の距離が40cm±50cmとばらつきがひどくて、スキーの横滑り角度がでない欠点がわかりました。

【L-RTK】RTK_2CHで横スベリ測定してみた<MovingBaseかHeading必要>

【L-RTK】MovingBaseでスキー滑走測定した<MBは凄い技術だ>

④MovingBaseモードの設定で苦戦しました
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※MovingBase設定の失敗が多いので、改善を重ねてきてます。
2021年1月21日の最新版の記事がベスト方法です。

【RTK2021】2セット目のSimpleRTK2BHeadingSet_MovingBase設定<SimpleRTK2B liteが曲者>

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通常のRTK測位の設定は、自分でトラ技をみながら精度よくできたのですが
MovingBaseの設定はマニュアルだけでは、できませんでした。
どうやら細かな設定が必要なようです。ですので、ArduSimple社が供給している
masterファイルを規定通りに正確な書き込み作業しないとMovingBaseモードが動きませんでした。ここまで、上記ArduSimple社のサポートへ散々お世話になりました。
おかげで英語で質問するのに慣れてきました。

【L-RTK】MovingBaseモード動いた<基本と設定>

⑤センシングシステムとしてはMovingBaseは相当ハイレベル
今までいじってきたセンサシステムは、IMU、微差圧センサを使ったPITO管風速計、3Dプリンタで作るひずみゲージ式6軸力覚センサ、ロードバイクのパワーメーターなど力、速度を測定するシステムをてがけてきましたが、それらのシステムレベルとRTKのMovingBaseシステムは全然レベルが違いました。※2020年12月以下に訂正
●違い1:Base-Rover間通信速度を上げないとデータ転送ができない(データをしぼらないとMovingBaseが動作しない)
●BaseとRover間の通信速度が460800bps以上でないと5Hz、8Hzでは、RTKできないということです。1Hzなら115200bpsで動作しますが遅すぎます。SimpleRTK2では、BaseとなるSimpleRTK2BliteがRoverとなるSimpleRTK2B上のXbeeコネクタに搭載されているので、その間のボーレートを460800bpsにすればいいです。
=>SimpleRTK2B liteのUART1(下)とSimpleRTK2BUART2(上)を460800bpsに設定しますややこしいので間違えやすいですが、能力ギリギリなので少しでもデータが過剰だと動作しません。下表重要ですので備忘録しておきます。2020年12月

UART ボーレート  IN データ項目 OUT データ項目
Base (SimpleRTK2B lite) UART2(上) 115200bps
(RTCM3は非同期なので遅くていい)
RTCM3
(外部からNTRIP経由でRTCM3データを入力)
none
(使わないのでnone)
UART1(下) 460800bps(5Hz以上の場合)

115200bps
(1Hz以下の場合)

none
(使わないのでnone)
RTCM3
(MovingBaseとして計算した自己位置とNTRIPからの絶対位置のRTCM3データ)
Rover(SimpleRTK2B) UART2(上) 460800bps(5Hz以上の場合)

115200bps
(1Hz以下の場合)

RTCM3
(Baseからのデータ受信なので同じ設定)
none
(使わないのでnone)
UART1(下) 115200bps以上
(UBXデータ172byteなので余裕がある)
none
(使わないのでnone)
UBX
(NAV-PVT100byteとNAV-RELPOSNED72byteのみ)


=>UARTの通信項目が重いと無事に走りません、MovingBaseで必要最小限の通信項目だけにしないと5Hz8Hzでは走りません。

●MovingBaseの出力は、RoverであるSimpleRTK2B基板から出しますが、USBなら速度は自動的に調整してくれますが、UART2なら115200bps以上なら大丈夫です。私は、UART2を460800bpsでやっていたので、高性能マイコンNucleoF446REが必要でしたが、F9P最新のファームウェアHPG1.13でMovingBase 8Hz(125msec)で走らせた場合でも、RoverのUART2が115200bpsでも無事受信できることを最近確認しました。

=>115200bpsで大丈夫なので、
ESP32系のマイコンでも大丈夫です。純正Arduinoは、ATMEGA32系なので9600bps程度の速度しかでないので無理です。
ESP32DevkitとかM5 StickC,M5 Atom,M5 Stack、mbedのCortex M3かM4なら大丈夫です。


通常は、115200bpsが最高速度で無線通信してきたのですが、RTK MovingBaseでは、460800bpsでも未だ不足するほど、高速の通信が必要です。シリアルの高速通信は、
下手なマイコンだとこけてしまうので、ハイエンドのマイコンでシリアルのクロックが速いものでないと受け付けないので、手持ちのマイコンでmbed、arduino、M5stack,eps32系でも歯が立たないという難易度でした。結局、460800bpsでまともに受信できたのは
STM32の高性能マイコンNucleoF446Reだけでした。ESP32もクロックは高いのですがシリアルのタイミング制御が無線WIFIのおかげで、性能が悪いのでできそうもないので
NTRIP受信用専用にESP32 WROOM32Devkitを使ってます。=>なぜ速度が必要なのか、200msec周期でデータが出力されるのにこの通信速度が異常に早いのが不思議なのですが、通信作業にF9PのCPUが時間が割けない状態であるみたいです。RTK計算は、逆行列計算の繰り返しなので、CPUパワーを食いますので、余計な作業はとことん減らさないといけないということみたいです。

=>例えば、460800bpsで1-2cm精度で動作していたMBモードを230400bpsに落とした瞬間に精度が1-2mまで落ちてしまうほど計算時間に影響があるみたいです。

●違い2 無線が2個必要
WIFIでNTRIP受信してRTCM3データをF9Pに流すCPUと
RTKの結果を高速で送信する無線モジュールが必要です。
通常のRTKならBlueTooth、XbeeをF9P直付けで115200bpsか230400bpsで
送信すればいいのですが、MovingBaseモードの場合F9Pから460800bpsで
UBXデータが出力されるので、BlueTooth,Xbeeモジュール直付けでは無理です。
そこで、高速受信できるマイコンでUBXを受信バッファして、BlueTooth、Xbee
で230400bpsでゆっくりと送信するということになります。時間的には
F9PのRKT時間百数十msecあるので、バッファさえしておけばゆっくりと送信できます。

⑥精度検証実験が大変
通常のセンサなら、室内で治具を作って再現性ある校正実験して、精度を決めるのですが、GNSS-RTK実験の場合、時々刻々と変わる地球環境の中で精度の検証を行うのですが、これが、訳がわからなくていけません。私の場合は、絶対的な緯度経度精度は必要なく基準局に対して相対位置がわかればいいのですが、それでも、地球環境に影響をうけるので、自宅庭で校正実験するのと違う場所で校正実験するのでは結果が違うと思いますので、校正実験キットも移動可搬性が必要なものを作らないといけないと思ってます。

 

⑦データモニターシステム
屋外で測定してその場で判定できるようにしないといけないので、ノートPCを中心に
システムが全部モバイル対応しないといけない点が大変です。基板、配線コード類も持ち運びでトラブルが起きないように準備しないといけませんので、準備に時間と手間がかかります。

以後

 スキーターンのデータがとれたので、処理システムとスマホのモニタープログラムをつくります。
 並行して、MovingBaseの精度検証実験を行います。


※1年後2020年12月にもう1セット揃えてF9P 4個体制となりました。

 

 

 

 

 

 

 

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