【パワーメーター】クランクにひずみゲージ貼った

パワーメーター開発を4年続けてきた反省
(まともなパワーメーターを作るのは大変なことだと判った、なんちゃっては作れるけど普段の走行で無事には使えません)

■振り返ると2016年から2019年までの3年間は、計測技術力が未熟で、まともなパワーメーター計測ができてなかったということだと思います。2020年になって、ノウハウと技術力が身についてきて、一挙に3年間の技術課題をクリアできて全体が見えるようになりましたので、ノウハウばかりでなく、基礎技術力がないといろいろなことをやろうとしても空転するだけだということを思い知りました。そこで、2020年夏からは基礎技術力強化としてロードバイクパワーメーターというアプリケーションを離れて、リアルタイムシステムを作るためのプログラミングと6分力センサを短時間に干渉補正できるシステム(SCP)を開発することに注力してます。
基礎技術力さえあれば、ロードバイク分野もいとも簡単に全容みえてくると思います。
※ここで言う基礎技術力 =>私の場合
1:プログラム作成(マイコンC++,PC VisualStudio C#,VB)=>これに4年かかって現在も研鑽中
2:線形代数計算(干渉補正計算とMatrixプログラム)=>教科書を見ながら勉強してます
3:材料力学と応力FEMシミュレーション(Fusion360の静的応力解析)=>これは専門なので見当つきます。
4:制作(ひずみゲージ貼り精度、寸法測定とケガキ、金属加工精度)=>これは素人レベルでしかできません
5:力学全般(機械系、建築土木系の基礎レベル)=>これは専門分野です。
6:電子工作基礎知識(電子回路とICの基礎知識、オシロと半田付けは必須です)=>素人レベルです。
上記項目が判ってくるとようやくロードバイクのパワーメーターについて実験できて、理解が進みます。
各メーカー製パワーメーターの良し悪し、本来の設計がどうあるべきかなど判ってきます。
理工系の学生さんなら、日頃の学習を熱心にやることで、パワーメーターへの理解が深まるので
学生時代は、学習に専念して、社会人になってからパワーメーターをいじったほうがよいと存じます。=>パワーメーターばかりでなく、上記基礎技術力があれば、技術者として食っていけますので、学生さんは、目指すべき目標だと思います。私も40数年前からロードバイクのフレームの応力解析がやりたくて、ひずみゲージを百枚くらいフレームに貼ったり、ひずみ塗料をフレームに塗って、主応力方向を求めたりしたことがあります。大事なのは、能力というより執着心を何十年も持ち続けて、こつこつと学習していけるかです。
例えば、材料力学で応力分布の基礎が判っていて、FEMのシミュレーションができれば
InfoCrankが何故高精度かがシミュレーションで解析できます。

【PM2020】InfoCrank応力Simulationした<優れた設計されてる>

 

■2021年以降で、ロードバイク全体にかかる力のベクトルをリアルタイムに見えるシステムを開発していきます。クランクだけの力でなく、ハンドル、サドルにかかる力、重心の動き、走行抵抗などすべての力をセンシングするトータルしたシステムとしてパワーメーター開発をしていきます。
■ブログ運営上、ロードバイク関連の読者が全体の2%程度しかいませんので、投稿は、ほとんどしません。投稿しても見る人がほとんどいないということですので、自分で整理ができたところで投稿することにしました。世の中で、ロードバイクの科学に興味のある人は稀にしかいないということだと理解してます。

※私がクランクにひずみゲージを貼る目的
計測用で、実用目的ではありませんので、ご参考にされる場合も決して実用目的ではないことを前提に
御覧ください。
単に安くしたいから自作するのは手間と実用性品質問題、作り直し等で数万円かかって割りにあいません。
=>振動で半田付け部が接触不良で死ぬとか、電池が弱ると無線のエラー率が高くなるとか品質上自作は厳しいです。
数万円台になってきている普及型のパワーメーターのほうが自作より使えます。(片クランクのみはNGです)
は、PowerTapの中古を4万円で仕入れて使ってます。取り外して3台のロードバイクで使いまわせて便利です、冬のローラ台練習ではEliteローラ台の出力より正確で運動量が正確にでます。シートチューブ型の自作パワーメーターなら実用に近い使い方ができるのですが、マイコン回路と配線を実用的信頼性のあるパッケージにするのが大変なので技術開発用と計測用でしか使ってません。
=>自作パワーメーターを始めてから、ロードバイク練習量極端に減りました。ロードバイク活動と自作パワーメーター開発活動は両立しないと感じてます。どちらをとるかですが、健康上練習したほうがいいですので自作する暇があったら練習して体を鍛えたほうが良い方向性ではないかと感じてます。
■自作するには、既に製品のパワーメーターを所有していたほうがいいです。
自作の精度を評価するのに、既製品をもっていないと何がなんだかわかりません。
私も作り始めて4か月して、必要にかられて、パワータップの中古を買いました。

■自作の醍醐味は、計測用として、ローラ台でのペダリングを測定解析
していろいろなことが判ることです。
 市販パワーメーターで自分の感覚に忠実なのは、InfoCrankだけですので、自分の五感で納得できる
データを得るには、自作するしかありません。私は、クランクとサドルとハンドルの6分力まで測定する
システムを何年かけてでも作りたいと思い技術力向上のため日々学習しております。
■市販パワーメーターでは、見えない負のパワーが存在します。
左クランクを踏んでいるときに、右クランクが下死点から上死点まで上がりますが、この間右足を持ち上げるエネルギーは左クランクが負担してます。これをネガティブパワーと呼ばれてます。
ですので、このマイナスパワーは、推進力にはなりませんし、人のペダリングによって、随分違ってきます。引き足が上手がプロライダーはネガティブパワーが小さいし、引き足を一切使ってなければネガティブパワーは数十%までなってしまう場合があります。これをキャンセルするには、左右クランクのトルク波形を同期させて正確に合算しないと推進力としてのパワーは得られません。ペダリングの下手さ加減のパラメータが入ってしまって、何のパワーを測定しているのかわからなくなります。ですので、市販のクランク式パワーメーターで左クランクだけ使っていても、まともなパワー値は得られませんので、左右揃えてなんぼとなります。パワータップだと推進パワーそのものですが逆にチェーンの伝達効率やマイナスパワーがわかりません。
自作で左右クランクのトルクを同期させて波形をみれば 一目瞭然です。波形の見えるパワーメーターが欲しいところですが、いずれ、ネガティブパワーも表示してくれるパワーメーターが発売されると思います。

【PM2020】クランクとパワータップの差はチェーン伝達効率かも<チェーン油塗布で変わる>

【PM2020】ネガティブパワー解析で以外な結果出た<ビンディング靴と素足の違い>

【PM2020】パワー値検証その1<正負トルクと時間計測誤差影響>

●過去4年間で最大数は左クランクに16枚貼ってペダリングモニターで踏力ベクトルを見た作品例があります。

【パワーメーター2018】ペダリングモニター備忘録<ゲージ配置確認>

更に、ひずみゲージを貼った後のアンプ、CPU、無線モジュール、システム全体の開発を経験して、とても素人では、実装技術が追い付かない課題があったからです。多層基板に細密なCHIPを実装して信頼性を確保するのはプロの仕事です。しかし、

=>学生さんや20代の技術者さんなら、実用でも計測用でもなんちゃってでも、何でもいいから自作していろいろな課題にぶつかってみるのが良いと思います。企業に勤めていても、昭和の時代に出来上がった技術体系の中で、重箱の隅っこしか担当しないで一生を終えるエンジニアがたくさん居ます。多分、本ブログの読者様はそういうのが嫌で、いろいろ検索調査されている真面目で前向きなお方が多いと存じます。DIYは、技術者を伸ばしくれますので、挑戦されることをお勧めします。メカ屋、エレキ屋、ソフト屋、化学屋、物性屋、建築土木、理学、農業、芸術、文科系さまざまな専門に関係なくトライされる方を応援したいです。
※2020年12月19日追記
=>冬になるとロードバイク乗りが暇で本記事のアクセスが増えてきます。ただ単に閲覧するのではなく、自作する活動をしていただきたいと思っております。自作する行動がその人の生き方を変えてくれるチャンスだと思いますので、お勧めします。
●ロードバイク乗りすぎはは、学生さんにはよくないと思う
ロードバイク趣味は、時間効率が悪い趣味だと痛感してます。まともな運動量を得るのに2-3時間絶対必要ですし、1日まるまるつぶれてしまうことが多い趣味ですので、電子工作と両立しにくいですが、人間の頭脳の活動観点では、自転車に長時間乗ることは頭の健康にはよくないと感じてます。自分でも自転車ばかり乗っていた学生時代は成績が良くなかったです、社会人になって自転車にのらなくなって、少し頭を使うようになって、家庭をもってさらに乗らなくなったら、自己学習が進むようになった経験があります。ですので、自転車を乗る時間を少なくして楽しむ方法をお勧めします。1時間のヒルクライムなどは短時間で体力を消耗するので良いと思います。
●ロードバイク乗りで電子工作する人は超レア
ロードバイク乗り業界では、電子工作を両立する人は極稀であることは本ブログでロードバイクネタを見に来る人が非常に少ないことで判ります。だいたい月5千人来訪者がいますが、その中でロードバイク記事を閲覧する来訪者は、100人程度です。しかも、自作まで行動を起こしている人は、年に1人くらいしかいませんので、ロードバイク乗りで電子工作をしている人は日本で数えるほどしかいないのではないかと推定してます。その超稀な電子工作とロードバイクを両立させる人が増えてほしいと思ってます。
※2020年6月記
このクランクに貼ったゲージブリッジを使って、新たな無線セットで、左右トルク波形とPowerTapのパワー波形の比較実験を行いました。このクランク貼りでもPowerTapと相関係数98.8%でパワー値を出力できました。
ここ3年の課題は、無線で左右からトルク波形を送信すると、数分すると左右位相がずれてしまう課題がありましたが、今回は、上死点信号を一斉同期信号としてブロードキャストする方式で、上死点をトリガーにして、半回転毎にパワー値の計算をする方式で、位相ずれが発生しない方法で、何時間でも測定できるようになりました。
クランクのパワー値とPowerTapのパワー値の差は、チェーンの伝達効率みたいです。そんな違いも見えます。
計測用でもいろいろ楽しめます。

【PM2020】クランクとパワータップの差はチェーン伝達効率かも<チェーン油塗布で変わる>

●ひずみゲージ貼り作業の課題と=>対策
課題1:ひずみゲージを貼ると斜めになったり位置がずれる。
=>マスキングテープにゲージサイズの窓をくりぬいておいてマスキングテープをクランクに貼ってからゲージ貼りを行う。
課題2:4ゲージ1セットなので、配線がぐちゃぐちゃになる
=>ゲージ位置と配線の並び順をいつも同じ順にして、線の名前も同じ順につける。

●ひずみゲージ貼り作業説明
※2018年10月現在は、ひずみゲージの貼り方も2年間の修練に基づいて以下の動画のように進歩してきてます。
マスキングテープとスコッチテープが貼りつかないようにするのに工夫が必要ですが、改良していきます。

TMLのゲージで昨年買った鉄用が6本余っていたので、それを右クランク用に4本使いました。ひずみゲージ貼り付け用のシートも付属してます。

クランクの断面寸法をノギスで測定して、巻き付ける寸法をマスキングテープに線引きしておきます。ゲージを貼る位置に窓をカットしておきます。窓は一回り大きめにして、右上角をめざして貼ります。

側面の裏表にぐるりとマスキングテープを巻くことで、裏表の位置合わせがそこそこ出るしかけです。
ゲージの裏面に一滴瞬間接着剤を垂らして窓の右上角めがけてゲージをもっていって、押さえシートで数十秒押します。共和のマニュアルがあります。http://www.kyowa-ei.com/jpn/technical/notes/bonding_procedure/

なんとか、貼れましたが、若干ゲージの頭の位置がずれてました。頭そろえるのが難しいので、TMLさんから2枚が1体化したゲージを仕入れておきました。

幅が広いのでクランク側面は無理でした。
フレームシートチューブには、便利なゲージになると思います。

クランクとギアが配線固定用のテープだらけで、満身創痍にみえます。左クランクも同様に貼って出来上がりました。

治具づくりは1週間がかりでしたがひずみゲージ貼りなら1日で余裕でできてしまうので、慣れればひずみゲージ貼って力測定したほうがスマートです。


●クランクのひずみゲージ出力と荷重のキャリブレーション
踏力は40kgMaxくらいで校正しているのですが、30kgまでのおもりがないので、ダンベルで6kgまで吊って直線回帰して、OKとしました。

ロードセル用ブリッジを組んであるので曲げ力だけに感度をもってました。おもりの吊り下げる位置がペダル軸根元でもペダル軸先端でも同じ値がでました。つまりクランクのねじり方向には感度がありません、クランクの長手方向へ引っ張ってみましたが、5Kgで0.1kg程度の感度がありました。この長手方向もゲージを貼って、測定すればパイオニアのパワーメーターと同じ仕掛けになるので、ペダル踏力のベクトルが得られます。
①クランク角90度キャリブレーション値

R=0.99998という線形性が非常にでてました。ロードセルそのものです。
このCAL値をプログラムに書き込んで、クランク角54度にして、測定値をみると

この出力値は、SIN(54度)の値が出てますので、
このクランクに貼ったひずみゲージから踏力の接線方向分力が得られることが分かります。
●以後
左クランクもCALしてから、ビンディングペダルとシューズでいろいろな踏み方をした校正作業をおこなって、精度を見極めます。

※3年後の2020年6月記
この3年間で、応力解析、6分力センサなどの開発により、分力センシング技術が身についてきてます。クランクに関しては、詳細な応力解析を実施した結果、

【PMD2018】Crankはそりねじり変形が重要<Simulationと実験値一致>

この105クランクでは、上死点付近で±25度範囲で、正常な曲げひずみが発生してないことが分かりました。上死点で、クランク下方向へ座屈させるモーメントがかかることでそり曲げ状態になるみたいです。クランクはトルク変換器として使う場合は上死点での非線形挙動をどう逃げるかを考えないといけません。校正実験でも理論値と同様の傾向があります。

【パワーメーター2019】クランク校正開始<クロストーク有る>

 

 

 

基本的に商品の形状にそのままひずみゲージを貼ること自体で、変換器としての精度は、悪いものになります。
これは、世界最高峰のパワーメーターであるInfoCrankの記事を見ていただければわかります。1%前後の精度を得るには、トルク専用の形状に設計したクランクが必要です。趣味の自作パワーメーターという観点では、適当にクランクにひずみゲージを貼っても、そこそこ5ー10%程度のトルク精度は普通にでてくると思います。パワー自体が力x速度なので、力と速度のばらつきに積分誤差まで含む量なので、精度的には、力学量よりは出ないはずですので、どの程度で自分は満足できるか次第です。私は、自分で踏んでみて自作パワーメーターの値と体感が一致すればいいと思います。現在パワータップを使っていても、反応が1-2秒遅れる点が嫌で自作パワーメーターで左右別のパワーを瞬時に表示させるシステムを作ってます。

【パワーメーター2018】InfoCrankパワーメーターの高精度設計考察<私の感覚に近い>

究極のクランク型パワーメーターINFOCRANKをご寄贈いただきました。2020年10月以降
実験解析させていただきます。楽しみにしてます。

【パワーメーター】InfoCrankセット御寄贈いただきました<I様に感謝>

【3月9日】パワーメーター自作<NucleoとLT1167で基板組んだ>

●最大の課題は、実装システム技術です。
ひずみゲージは貼れるのですが、ひずみアンプとCPUと無線モジュールを
実装するのが超大変です。プロならいざしらず、素人で、多層集積基盤を設計試作したり、CHIPを実装するのは難易度が高いです。自作でかかるコストを考えると10万円でも製品を買ったほうがTCOは安いです。

私の場合は、クランク式パワーメーターは、計測システム用なのでサイクリングで使うためのものでなく主にローラー台での実験用です。
パワーメーターの本命は、シートチューブ型パワーメーターです。これができれば、自作しやすくて、安くて小さくて実用的な方式となります。ポテンシャルがあるので企業からも注目をいただいております。
クランク式は多分力化して、ペダリング運動解析用に発展させていきますので、基板システムも大がかりになるので、今よりも一層実用的でなく実験計測システムとなります。

 

 

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