【11月15日】hictop-prusai3-ゴム系プリント不良解析と対策-

  • はじめに

    先週からゴムシールをプリントできない課題を持ち越してましたが、
    本日、基礎解析して現象の概要がわかったので、対策してなんとかゴムシールをプリントして、IMUセンサケースが完成しました。


  • お菓子のような色合いでおいしいそうなケースができました。
    一応防水仕様です。●ゴム系フィラメントの吐出不良現象の基礎解析
    ①規定の送り量に対して、何g吐出されるのか測定
    以前買っておいた中華精密天秤をだしてきて、測定しました。
    フィラメントの重量100mm=>0.286g
    20mm=>0.0572g
    Simplify3DのJOGパネルで、
    1mmピッチで20回クリック:20mm=>0.02g
    10mmピッチで2回クリック:20mm=>0.013g,数分間でじょじょに垂れてきて、0.09g,0,06gで合計0.0288g結果1:送り量に対して、吐出量は、50%以下で送り量と関係しない。
    ちなみにPLA、ABSでは、送り量に対して80%以上吐出しているのが普通です。②何故吐出しなくなるのか?
    A:目詰まり?
    一度吐出しなくなった場合でも、エクストルーダをばらしてみるとフィラメントがドライブギアに巻き込んでいて送らなくなっていてそれを直して、送ると吐出するので、ノズル内でゴム系材料が目詰まりしていないことがわかった。しかし、一定速度で送っているうちにまた、ドライブギアに巻き付いて送らなくなる現象の繰り返しで100mm長程度のプリントならOKだが、200mm以上だと途中で吐出しなくなるということが発生します。B:ゴム系材料のノズル内での挙動
    ゴム系の場合、初めから20ミリくらい送らないとノズルから出てきません、これは、ノズル室内である程度圧力がかからないとノズル口から出てこられないほど圧力が伝わらないということです。粘性が大きくて抵抗が大きいのか、弾性変形が大きくて圧力を喰ってしまうのか不明ですが、押してもため込んでいて出てきません。つまり、送り量に関係なく一定圧力以上で、吐出されていくので制御ができない材料であることがわかります。吐出量は、ある範囲で一定量しかでないし、止めたいときにもすぐには止りません。出したいときもすぐには出ません。C:なぜ吐出しなくなるのか?
    Aの現象は、Bの原因で発生することはわかったのですが、
    Bの現象に対して、常にノズル室内の圧力を一定以上に保っていれば、コンスタントに吐出するはずです。実際は、最初だけ出ていてしばらくすると止まりますが、原因は、常にドライブギアへの巻き付きで、圧力低下して、出なくなる点です。
    =>ドライブギアの巻き付きをなくす●対策案
    ①ドライブギアの巻き付き経路変更
    img_4133
    PLA,ABSでの経路はこのようになっています。このドライブギアの組み合わせはそれなりに苦労して決めてきました。下記記事に詳細あります。

    [6月23日]ドライブギアと押さえベアリング交換

    これに対して、経路を下記のようにしました。まき付け角を増やしてでkるだけ、ギア側に巻き込まれないようにしたものです。
    元の穴から10ミリ離してドリルで穴をあけました。

  • これで、確認してみましたが、程度の差こそあれ巻き込みは発生してしまいますのでNGでした。②ドライブギアをスリップさせて巻き込み防止
    ABS,PLAでの対策に対して逆転の発想で、わざとドライブギアをすべらせて、巻き込み防止しながら、ノズル室の圧力を一定以上にしたらよいのではないかというアイデアで、HIC TOPPRUSAオリジナルのドライブギアセットに組み戻しました。
  • 左がオリジナル、右が現在のもの

  • これで、確認すると、どんなに送ってもスリップして巻き込みはしませんでしたが、途中で止る現象はまだ、発生してました。
    ③Simplify3Dの設定条件を変更
    DefaultでPLA用条件でプリントすることにしてましたが、
    ゴム系の場合、異次元の現象ですので、設定を変更してみました。
    対策②のドライブギアでスリップさせても吐出しなくなった点、
    これは、圧力不足が原因ですので、送り量を増やして、更に、プリント速度を遅くすることで、入りを多く、出を少なくしてノズル内圧力を一定量以上に保つようにすれば、行けるはずだと言うことで、
    Extrude倍率を1.5倍に設定


  • プリント速度を3600mm/minから1800mm/minの半分へ落としました。
  • これで、①②③の合わせわざで、ゴムシールプリント完成しました。
  • ●以後のゴム系プリントの扱い
    対策②と③が効いてなんとか、シールゴムのプリントができました。
    300mm長までのプリントはできそうです。それ以上長いものは未だ
    不明ですが、原理上は条件を合わせながらやればできるはずだと思います。ゴム系材料は、PLAみたいな制御ができないので精度や複雑な形状は厳しいと思いますが、用途がシール系など小物で単純形状が多いので、これからも使っていけると思います。 

     

カテゴリー: 3DP

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